2016/08/07

【現場最前線】最新鋭マシン産み出す“工場革新” キャタピラージャパン明石事業所


 最新鋭の油圧ショベルは、最先端の環境から生まれる--。キャタピラージャパンの油圧ショベルの油圧制御の心臓部といえる主要コンポーネントから、骨格となる板金構造物までを一貫生産している明石事業所(兵庫県明石市)。甲子園球場の約5倍に相当する約24万㎡の敷地内には開発本部と部品、板金、組立工場が密接に集結しており、試作前からのVR(バーチャル・リアリティー)導入や溶接ロボット、自動搬送システムなど最先端の生産・品質管理設備を導入する“工場革新”に取り組んでいる。写真は国内向けの11年度排ガス規制をクリアした314E(左)と、北米向けの323F。ICT対応、クーリングパッケージの清掃のしやすさなど使い手の使いやすさも最新のトレンド

 同事業所では11-90tの油圧ショベルを生産(74、90tはベース機体を輸入)している。このうち約7割については東播磨港、神戸港に近い地の利を生かし、アジア、欧州、中近東・アフリカ、北米など世界約60カ国(2015年実績)へ輸出している。

4面の大型スクリーンを配したVRルーム

 最新鋭の製品をいち早く供給すべく、同事業所には4面の大型スクリーンを配したVRルームを設置している。車両計画部担当エンジニアの定本貴裕氏は「開発側にとっては燃料系ホースの断面検証や操作スイッチ、ドリンクホルダーの位置までもバーチャル体験を通じて検証することで、試作前の開発早期にあらゆる問題点を発見できる。オペレーターにとっても実際のシートに腰掛けて窓の広さなどを確認し視界性を体感できる。またコミュニケーションを促す効果もある」と双方のメリットを強調する。13年のシステム導入以来、フィードバックをすることで「開発過程での後戻りが少なくなり、試作段階における不具合の件数は2割程度減った」とも。
 板金工場では、小型から大型機までの主要構造物であるブーム、スイングフレーム、ベースフレームを一貫生産している。従来の半分の所要時間で溶接できる最新鋭の溶接ロボットを配したスイングフレームFMSライン、国内最大級の3次元測定装置を配した大型板金ラインなどを設置。こうして造られたコンポーネントや主要構造物を組み上げる組立工場は顧客の多様なニーズに応えるべく、多品種少量生産に最適化したシステムを構築しているのが特長だ。全長約200mのメーン組立ラインは、「特にベースフレームの組み立てに自動化設備を取り入れたり、部品供給装置を有機的に連結することでマテリアルハンドリングを合理化する一方、作業員の経験とスキルも融合し、柔軟な生産体制を確立している」(同)。
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