2016/08/06

【現場の逸品】インパクトドライバーでねじ込むべし! 仮設足場専用アンカー『あしばのジョー』


 簡単かつ短時間に建物の壁と仮設足場をつなぐ、足場専用のジョイントアンカーが登場した。サンコーテクノ(千葉県流山市)の『あしばのジョー』は、これまでなかったネジ固着式で大幅に職人の手間を軽減する。穿孔後にダストポンプで孔内の切粉を除去し、インパクトドライバーでアンカーをねじ込むだけで固定が終了する。多忙な現場に最適な一品だ。

 「ゼネコンから『足場つなぎ用の商品はないか』という要望が集まっていた」とファスニング営業本部統括グループの中澤誠氏は話す。現場の足場つなぎには、ビルの設備工事用の金属系あと施工アンカーが使われてきた。コンクリートが固まったあとに穿孔し、先端が太くなっているネジを挿入したあとに、ネジの先端部分に向けて先が割れた拡張子をハンマーで打ち込み、コンクリートとの摩擦力で止める方法が一般的だ。
 あしばのジョーはねじ込み式の機構を採用した。ドリルで穿孔した後、インパクトドライバーでアンカーをねじ込む。上からフランジを取り付け、先端が壁に接触すると施工は完了する。必要な埋め込み長さが足りているかは、フランジの孔から確認できる。「これまでよりもひと手間少なくなった。短工期が求められるこれからの現場で存在感を発揮する」と中澤氏。狭い高所で行われる足場の取り付けでは、職人がハンマーを振るスペースが取りにくく、落下の危険性があった。工事現場では転落災害が多く、安全性向上にもメリットがある。


 取り外しでも大きな違いがある。これまでは建設工事が終わると、専用の器具でアンカーを引き抜いていたが、壁の内側には鉄の拡張子が取り残され、しばらくするとさびて壁の外側に赤い色が流れ出した。真鍮(しんちゅう)製のアンカーを使用すれば防げるが、値段が高い。あしばのジョーはねじ込み式のため、インパクトドライバーを逆回転させれば簡単に撤去できる点も魅力だ。
 開発では「より小さい力でコンクリートに入っていき、引っ張られたときには大きな力で抵抗する形を考えた」と戸邊勉技術開発部長は説明する。ねじ山の角度を、挿入方向に対してなだらかな逆向きにすることで、先端に荷重がかかったときの摩擦力を増す構造を採用し、微調整のための実験を重ねた。
 価格は、首下長さ65mmで190円、85mmで200円、105mmで220円と、従来品とほぼ同じだ。初年度の売り上げは3000万円を目標とする。漫画家のちばてつや氏の了解も得たパッケージは、関西圏の販売店で特に好評だという。
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