2016/08/25

【CNCPアワード】16年度最優秀はNPO法人道普請人に 自ら行う公共事業の可能性に評価


 シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP、山本卓朗代表理事)は24日、「CNCPアワード2016」の受賞者を発表した。優れたソーシャルビジネス事業を対象とした「ベスト・プラクティス部門」と事業企画の「ベスト・アイデア部門」について表彰するもので、順に最優秀賞と優秀賞各1件、最優秀賞1件の計3件が選ばれた。10月31日に表彰式と受賞者によるプレゼンテーションを行う。写真は最優秀賞の「土のう工法の普及活動を通した未舗装道路整備のインクルーシブビジネス化」

 1回目の今回は全国から総計20件の応募があり、7月7日に開いた選定委員会(委員長・谷本寛治早大教授、委員4人)の結果を23日の理事会で了承、最終決定した。
 ベスト・プラクティス部門は、12件の応募の中から最優秀賞にNPO法人道普請人の「土のう工法の普及活動を通した未舗装道路整備のインクルーシブビジネス化」、優秀賞にNPO法人都市住宅とまちづくり研究会の「東日本大震災 宮城県東松島市あおい地区における防災集団移転等の支援活動」が、またベスト・アイデア部門は8件の応募の中から最優秀賞にNPO法人シビルサポートネットワークの「地方自治体のインフラの維持管理を支援する有限責任事業組合」が選ばれた。
 CNCPは受賞者講評で、道普請人の活動を「社会インフラ整備というと、ともすれば行政任せになりがちだが、この事業は自分たちでの公共施設づくりをも気付かせてくれる。また工法自体は、資機材等の調達困難な地域でも生かせるため、継続性や事業の採算性も期待できる。海外のみならずわが国でも実施、展開できる新しいモデルである」、東松島市の事例については「移転する前から移住住民によるまちづくり協議会を立ち上げ、コミュニティーの形成を図り、さらに課題解決を進めている」、また有限責任事業組合については「自治体の長寿命化修繕計画の実施を支援、後押しするというまさに時宜にかなった提案である。技術者の専門性の活用、成果の有効性、発展性など多くの点で期待できる」などと評価している。

 受賞者以外の応募者は次のとおり。
 〈ベスト・プラクティス部門〉
▽NPO法人風土工学デザイン研究所「風土工学の普及啓発」
▽NPO法人グリーンアース「建設業の活性化と技術の伝承を目的とした人材育成・継続学習並びに新技術開発研究」
▽NPO法人市民歩走者学会「一般市民を相手に歩道や公園や緑道等を活用する観光ランニングの開催事業」
▽NPO法人茨城の暮らしと景観を考える会「公民連携による地域再生プロジェクト」
▽NPO法人スリムJapan「東日本大震災における津波がれき処理に関する提案と課題の伝承」
▽ウッドプラスチックテクノロジー「軽量なウッドプラスチック製養生用敷板の普及による環境負荷低減事業」
▽NPO法人シビルまちづくりステーション「校園庭の芝生化支援事業」
▽NPO法人伊万里はちがめプラン「『生ごみを宝に』食資源の循環型社会を目指して」
▽NPO法人建設技術監理センター「工事監査(建設技術調査業務)による技術者教育」
▽ガイアートT・K「民間事業者による有料道路白糸ハイランドウェイの道路運営事業」

 〈ベスト・アイデア部門〉
▽寺田鉄工所「太陽熱利用による地球温暖化防止への取り組み」
▽旭建設「最新型橋梁点検車を加えた、新たなインフラ点検業務の確立」
▽まちみと「まちづくり会社による『共感まちづくり』の実現」
▽NPO法人スリムJapan「南太平洋諸国での地球温暖化による海面上昇対策事業の企画提案」
▽黒崎健二「江戸時代の共助のまちづくり再生構想『水戸藩(HAN)』プロジェクト」
▽中川の会「中川を活かしたまちづくり」
▽くるっ都地球温暖化対策地域協議会「太陽熱温水器で被災地支援」
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