東京都江東区は、旧大石家住宅茅葺屋根葺替工事の見学会を開いた。木製や鉄製の工具を使いながら手作業で進める工事で、区民など参加者が見入った。
旧大石家住宅は江戸時代に建てられた区内最古の民家建築で、規模は木造平屋建て87.77㎡。安政の大地震や戦災などいくつもの災害を免れ、1994年3月に区の有形文化財(建築物)に指定された。96年に仙台堀川公園に移築復元、現在は周囲をアパートに囲まれボランティアによって管理されている。
手作業で工事が進む |
工事概要について区の職員が、「旧大石家住宅友の会のボランティアが囲炉裏の火入れを定期的に行い、煙が虫除けになっているので屋根の状態は良好。そのため今回は屋根の表面40cmから60cm程度を葺(ふ)き替える平葺工法を採用した」と説明した。
現場の段取りや足場作成を根本建設(江東区)、茅葺きを熊谷産業(宮城県石巻市)が担当している。工期は3月上旬から中旬を予定するが、屋根の修繕工事は天候に大きく左右される。
宮城県から工事にかけつけた熊谷産業の尾坂勝さんは、「例えば、使用する茅葺きにストローを使えば撥水能力が高いのではという考えもある。しかし、実はヨシなどの草類の方が屋根の表面に水の膜ができて天井に落ちない。自然を生かした昔からの知恵です」と語る。
見学用の足場は高さ3.6m。屋根で作業する職人と同じ目線で、参加者は丁寧な作業を観察した。
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