2017/02/26

【教育】角材と輪ゴムで家を建てよう! 建築価値、地域、業界を学ぶ八幡山小の建築WS


 建設業の若年世代へのアピールが大きな課題となる中で東京都世田谷区の八幡山小学校では、地域建設業で働く建築士らと協力したワークショップ「まちをつくろう」を毎年開催している。丸木英美校長は「(児童に)本物を見せたいという思いがある。実際に仕事をしている方から仕事に向き合う気持ちを学んでもらいたい」と語る。

 「まちをつくろう」は東京建築士会世田谷支部や日本建築家協会(JIA)世田谷地域会などの会員がファシリテーターを務めるワークショップで、180cmと90cmの角材と輪ゴムを組み合わせて「家」を製作する。建築士から構造や風荷重の考え方などの指導を受けながら児童が作品を立ち上げるため「生活に密着した知識を理解できる」という。
 もともとは図工の教諭だったという丸木校長は「図工の授業では自分だけの作業になりがちだが、一人ではできない大きな製作は机の上でものをつくる体験とは比べものにならない価値がある」と強調する。
 建設業で働く保護者や建築関連資格を保有する家族も多く「保護者との関係も強くなり、子どもが親の仕事に関心を持つきっかけにもなる」とキャリア教育の側面もある。「地域で働く建築士や保護者との交流で、いろいろな職業についての理解を深めることができる」とも。また建築や街並みの専門家と接する体験は「地域にある建築の価値に気付くことにもつながる」とみる。
 英語教育、選挙、税金など公立小学校では学ぶべき内容が増加し続けている。現場の忙しさは増す一方だが、それでも建築ワークショップを開催し続けるのは「さまざまな職業の方とのかかわりから自分の将来を意識し、勤労観・職業観を学ぶ体験は将来に役立つ知識になる」と力強く語る。
 業界の魅力を発信する取り組みは、地域に密着した地道な活動から静かに広まっていく。
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