2015/06/30

【復興特別版】「新区界トンネル」本格着工! 内陸と沿岸つなぐ岩手県最長トンネル

東北地方整備局が復興のリーディングプロジェクトとして整備を進めている宮古盛岡横断道路の一部を構成する区界道路で、岩手県内最長となる(仮称)新区界トンネルの安全祈願祭が28日、宮古市区界の現地で行われ、鹿島・東急建設JVの施工で本坑の掘削が本格化した。掘削期間の短縮を図り、早期完成を目指す。写真は本坑切羽付近。

 宮古盛岡横断道路(全長約100㎞)は、津波で大きな被害を受けた沿岸部の宮古市と、内陸の盛岡市を横軸で結ぶ道路で、現道の国道106号のリダンシー(代替性)を確保する。
 このうち区界道路は、長さ約8㎞の区間で2トンネルを築造し、宮古と盛岡市境の現道最大の交通の難所である区界峠の急カーブ・急勾配の解消を図り、走行性と安全性の向上を目指す。
 新区界トンネルは長さ4998m、幅員12mの山岳トンネル。長大トンネルのため、本坑内での事故など不測の事態に備え、避難坑(長さ5045m)も整備する。
 施工は発破掘削工法を採用。最新鋭のコンピューター制御掘削機を導入し、今回着工した宮古側と今秋にも着手する盛岡の両側から掘削する。期間短縮のため、本坑の2切羽のほか、避難坑から仮設の作業坑を本坑に取り付け、切羽を増設。最盛期には最大4切羽で急速施工を図る。
 また、吹き付けコンクリート用の生コンプラントや寒冷地仕様の骨材ストックヤードを設置し、コンクリートの高品質化を実践する。

宮古市側本坑で開かれたこの日の式典には、同整備局の村井禎美岩手河川国道事務所長、山本正徳宮古市長、谷藤裕明盛岡市長、太田貴博鹿島執行役員東北副支店長、菊池智彦東急建設東北支店長ら関係者約120人が参加。代表者が鍬(くわ)入れ=写真=した後、神前に玉ぐしをささげて工事の安全と早期完成を祈願した。
 神事後、山本市長は「三陸沿岸地域の復興と産業振興、医療などのインフラ整備に大きく貢献する本トンネルの1日も早い完成を待ち望んでいる」と述べた。また谷藤市長は「内陸と沿岸部を結ぶ救命救急道路となるほか、ドライバーの安全を確保する“命を守る道路”となる」と期待を寄せた。
 村井所長は「完成すれば県内最大のトンネルとなる。交通の難所を改善し、救急搬送の時間を大幅に短縮することができる。安心して運転できる立派なトンネルの完成に努めてほしい」と語った。
 これを受けて太田副支店長は「地域の期待が大きい長大トンネルの施工に参画できて大変光栄に思う。総力を結集し、1日も早い完成を目指す」と決意を表した。

西川幸一所長(鹿島)
西川幸一所長(鹿島)の話「宮古側の掘削は逆勾配になるため、湧水対策として先行する避難坑で水抜きボーリングを兼ねて施工に当たる。安全に高品質の完成を目指す」
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿