2015/06/14

【デジタルデザイン】最適なツールを使いこなすスキルを 明大でシンポ

明治大学主催のシンポジウム『日本のデジタルデザインは本当に遅れているのか?』で、デジタルデザインの可能性が浮き彫りになった。コーディネーターの小林正巳明大教授が投げ掛けた「これからの日本がデジタルデザインとどう向き合うべきか」との問いに、パネリストから前向きな意見が相次いだ。

 パネリストは日建設計執行役員の山梨知彦氏、Noiz Architects代表の豊田啓介氏、東大特任准教授の小渕祐介氏、アーキコンプレックス代表の廣瀬大祐氏、明大特任教授で吉村靖孝建築設計事務所代表の吉村靖孝氏、アルゴリズムデザインラボ代表の重村珠穂氏、イエイリ・ラボ代表の家入龍太氏の7人。
 「実はデザインの区分けにはデジタルもアナログもない。建築家はベストバランスで使い分けることが重要」と強調したのは山梨氏。これに対して小渕氏は「既にコンピューターを使うことが当たり前の時代であり、どうすればコンピューターを使って、日本の建築のすばらしさを引き上げることができるかを考えるべき」とした。
 急速に進展するデジタルデザインの流れを見据え、豊田氏は「常識を超えるものが常識になる時代であり、新しい動きを仕組みとしてどうとらえていくかが大切。その時々で最適なツールを使いこなせるスキルが求められる」と強調。廣瀬氏も「無理してコンピューターを使う必要はないが、使うことで新たな発見や答えが導けることは間違いない」と続いた。
 吉村氏は「住宅系でもデジタルデザインを活用すれば可能性は広がる」、家入氏は「施工現場での活用がデジタルデザインの効果的な使い方の1つ」とそれぞれ提案。重村氏は「小さな設計組織こそBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の効果を最大限に得ることができる」と活用を促した。
 会場が明大キャンパス内ということもあり、来場者の大半は学生。デジタルデザインと向き合う実務者や教育者の言葉に聞き入った。
 同シンポジウムは日刊建設通信新聞社が共催、日本建設情報技術センターなどが後援し5月31日に開かれた。
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