2015/06/25

【名古屋城】天守閣木造復元の早期実施を 名古屋市

名古屋市は、コンクリート製の名古屋城天守閣の木造復元について「早期の実施が望ましい」とする結論を、市議会経済水道委員会に伝えた。これまで実施した調査結果を踏まえ報告した。耐震改修し40年後木造復元案と早期木造復元案を比較し、より深刻化する建設業の担い手不足問題や、400mm角以上の木曽ヒノキの確保が難しくなることなどから早期復元が望ましいと判断した。今後は、専門家から意見を聴取するとともに、課題を整理して事業を進める。

 名古屋城天守閣は1945年の空襲で焼失し、59年に再建、現在に至っている。大天守(SRC造地下1階地上7階建て延べ5431㎡)と小天守(同地下1階地上3階建て延べ1347㎡)の2棟で構成する。ともに耐震性などが現行法令に適合していない。
 調査は、文化庁が求める史料に基づく忠実な復元を目指し、木造のみで検討。工事期間中の観光客減少への対策や工事スペースの確保が難しいことなどから、着工は本丸御殿完成後の18年度からが有利と判断した。工期は耐震改修が最短14カ月、大規模改修の場合には32カ月が必要となる。木造復元の場合には、解体工事に3年、復元工事に6年、石垣の積み直しに9年程度を見込む。
 事業費は、耐震改修が29億円で、復元工事の場合は総ヒノキ材で節のないものが約400億円、あるものが約320億円、外国産材も一部使用する場合は約270億円。
 焼失前の大天守は、木造地下1階地上5層5階建て延べ4563㎡、小天守は同地下1階地上2層2階建て延べ831㎡。ともに層塔型天守で、実測図が残っており、正確な復元ができる。
 14年度調査は大建設計が担当した。
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