佐藤工業が、宮城県気仙沼市で「国道45号気仙沼第2号トンネル工事」の施工を進めている。長さ1167mの山岳トンネルだが、唐桑側坑口は唐桑北インターチェンジからの合流部で加速車線を加えた3車線の大断面となる。内空断面189㎡という国内有数の大断面である上、風化が進んだ地山を掘削する難易度が高い工事だ。大断面部を施工中の現場を取材した。写真は切羽の状況。中央は先進導杭。
この工事は、国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所が発注した。三陸沿岸道路整備事業のうち気仙沼唐桑工区(11㎞)の一部となる。バイパスの渋滞緩和や緊急輸送道路としての機能に加え、水産物の輸送効率化や観光への寄与なども含めて地元からの期待は大きい。
延長1167mのうち、唐桑側坑口の拡幅部区間は長さ197m、2車線となる標準区間は969m。標準区間とはいえ、内空断面は94㎡と大きい。拡幅部の施工は、まず中心に小径の先進導坑を施工した上で、上半と下半に分けて掘削する。
現在、全体の進捗率は7%程度。中央導坑170mは掘削済みで、本坑は上半が87m、下半26m、インバートの施工は23mまで進んでいる。
坑口拡幅部の地山は岩級区分DIIIa。風化がかなり進んでいて崩れやすい上、縦方向に層が形成されるなど非常に複雑な地山だ。このため佐藤工業は補助工法として、「長尺鋼管フォアパイリング工法(AGF工法)」を提案した。天端部に通常より長い21mの鋼管を斜め上方向に埋め込んで安定させており、ラップ(重複部)を少なくしてコスト面にも配慮している。一方、吹付けコンクリートは36ニュートンの強度を持たせている。
拡幅部の地山はD層だが、掘り進めていくと大きな硬い岩が出てきた。唐桑側坑口は国道が近く発破作業ができないため、こうした岩は削孔して砕いていくしかない。一方、先進導坑から実物の土を事前採取できるメリットは大きい。本掘削に備えた前方探査としても機能している。
拡幅部が最大の難所だが、「今のところ大きな変位はない」(葛城敏英所長)と施工は順調に進んでいる。この現場では安全対策を特に重視している。葛城所長が徹底しているのが、「人と機械の分離」だ。それぞれの動線を明確に区分した上で、「ダンプによるズリ出し中には、人が入らないルールを徹底している」。昼夜作業が進んでいるが、作業員の入れ替え時には、鏡吹付けの写真も含めて引き継いで情報共有している。
来年から覆工コンクリートの施工が本格化する見通し。難工事を克服するのが現場の使命だが、東日本大震災からの復興に向けた大きな使命を背負った現場でもある。
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この工事は、国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所が発注した。三陸沿岸道路整備事業のうち気仙沼唐桑工区(11㎞)の一部となる。バイパスの渋滞緩和や緊急輸送道路としての機能に加え、水産物の輸送効率化や観光への寄与なども含めて地元からの期待は大きい。
延長1167mのうち、唐桑側坑口の拡幅部区間は長さ197m、2車線となる標準区間は969m。標準区間とはいえ、内空断面は94㎡と大きい。拡幅部の施工は、まず中心に小径の先進導坑を施工した上で、上半と下半に分けて掘削する。
現在、全体の進捗率は7%程度。中央導坑170mは掘削済みで、本坑は上半が87m、下半26m、インバートの施工は23mまで進んでいる。
拡幅部の上半は87メートルまで掘削済み |
拡幅部の地山はD層だが、掘り進めていくと大きな硬い岩が出てきた。唐桑側坑口は国道が近く発破作業ができないため、こうした岩は削孔して砕いていくしかない。一方、先進導坑から実物の土を事前採取できるメリットは大きい。本掘削に備えた前方探査としても機能している。
拡幅部が最大の難所だが、「今のところ大きな変位はない」(葛城敏英所長)と施工は順調に進んでいる。この現場では安全対策を特に重視している。葛城所長が徹底しているのが、「人と機械の分離」だ。それぞれの動線を明確に区分した上で、「ダンプによるズリ出し中には、人が入らないルールを徹底している」。昼夜作業が進んでいるが、作業員の入れ替え時には、鏡吹付けの写真も含めて引き継いで情報共有している。
来年から覆工コンクリートの施工が本格化する見通し。難工事を克服するのが現場の使命だが、東日本大震災からの復興に向けた大きな使命を背負った現場でもある。
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