2015/06/28

【現場最前線】工期、地中支障物…プレッシャー乗り越え若手が成長した現場 東北新幹線荒川橋梁橋脚耐震補強工事

東鉄工業が施工していた東北新幹線荒川橋梁の橋脚耐震補強工事が完成した。当初予定より工期が約3カ月短縮されるとともに、鋼製矢板の仮締切工では地中支障物に作業を阻まれる中、夜間作業の追加や発注者と現場、支店、本社が一丸となった工法変更などで難局を乗り切った。

 同工事は、首都直下地震対策の主要プロジェクトとして東日本旅客鉄道(JR東日本)東京支社が発注。東京都板橋区と埼玉県戸田市の境を流れる荒川を跨ぐ荒川橋梁は、東京圏と東北・北陸エリアを結ぶ最重要線区として早期の完成が求められていた。
 河川内での施工となるため、既設橋脚8基の補強に当たっては、橋脚の周囲に土留めと止水を兼ねた鋼製矢板による仮締切工を実施した上で、厚さ20cmの鉄筋コンクリートを巻き立てた。

河川内工事は当初、12年11月から15年5月末までの3渇水期で実施する計画だったが、着手が13年1月末にずれ込んだため、大幅な工期短縮が求められた。昼間作業に加え夜間作業を実施したほか、年末年始、5月の大型連休も作業を続けた。鋼製矢板の仮締切工では、想定以上の地中支障物に作業を阻まれるという難局にも直面したが、工法変更などで乗り切った。
 現場代理人の山下真琴東京土木支店副支店長は、「首都直下地震対策の中でも新幹線の耐震補強工事は、とりわけ早期完成のプレッシャーを受けた。若手社員の頑張りはもとより、若手を指導する主任技術者などの先輩社員の努力が早期完成に導いた」とチームワークによる工事完成の喜びを噛み締める。
 困難な状況下での工事は若手社員の成長も促した。入社6年目の吉田拓工事管理者は、「これまで高架橋柱の耐震工事しか経験していなかったので、すべての作業が新鮮だった。夜間作業を中心に現場を担当したが、素晴らしい経験ができた」と実感を込める。また、入社5年目の佐藤琢彦工事管理者は、「最初から突貫工事を覚悟したが、困難な作業を乗り越えることができ、改めて会社の底力を感じた」と振り返った。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿