2015/06/10

【北陸道路舗装会議】道路建設業は命に直結する仕事、伝えたい 土木系高校生も熱心に聴講

第13回北陸道路舗装会議の最終日となる4日、新潟市中央区のANAクラウンプラザホテル新潟でパネルディスカッションが行われた=写真。壇上では道路建設業の魅力や役割を伝えようと熱のこもった話が繰り広げられ、聴講に訪れた新潟県内の土木系高校生約120人も真剣に聞き入っていた。

 テーマは「暮らしを支えるみちと技術者-日本を救う北陸の知恵と技-」。座長に大川秀雄放送大新潟学習センター所長を据え、北陸地方整備局の辻保人道路部長、新潟県新潟地域振興局新津地域整備部の瀬戸民枝計画調整課長、MAX・ZEN performance consultantsの丸山結香代表、道建協北陸の赤池利孝幹事長がパネリストを務めた。
 関東甲信豪雪では除雪の重要性とともに、新潟県を始め、積雪寒冷地が持つ技術力の高さが証明されたとの認識の下、瀬戸課長は「除雪は当たり前ではなく、これまで培ってきた努力の賜」と強調した。
 辻部長と赤池幹事長も当時の状況を振り返りながら、関係者からの感謝の言葉が「作業員の支えだった」と口をそろえた。さらに「有事では道路啓開が遅れれば復旧にも影響する。端的に言えば、道路は命に直結している」(赤池幹事長)との考えを示した。
 大川座長は、同豪雪が除雪の認知度を上げた大きな契機だったとした上で、除雪作業の現状に水を向けた。赤池幹事長は除雪車による道路除雪だけでなく、路面の点検、付帯施設の位置確認などの事前準備を含め「1年を通して除雪対策に携わっている」と説明。降雪期にはオペレーターが昼夜を問わず出動に備えており、「地域を守るという使命の裏側に大変な苦労があることを理解してほしい」と訴えた。
 辻部長が除雪の先駆者であり、新潟県の道路網の礎を築いた故・土屋雷蔵氏の功績を紹介した後、丸山代表は土屋氏が考案した道路の堆雪帯に触れ、「平時の混雑時には緊急車両の通行、故障車両の退避スペースになる」とし、「“道路の余力”によって人の命や経済を守ることができるので、こういったところは予算を削らず(堆雪帯を)全国に広げてほしい」と述べた。
 「除雪の課題は地方が抱える課題の縮図」との丸山代表の見解を皮切りに、担い手の確保・育成へと議論は移った。
 辻部長と瀬戸課長は行政機関としての取り組みを紹介。両氏とも業界の悪いイメージを払拭しながら、若手や女性が働きやすい環境を構築する必要があると指摘した。瀬戸課長は県土木部に三方良しの公共事業改革の考え方が根付きつつあると加えた。
 赤池幹事長は賃金の底上げ、就労環境の改善など道建協の取り組みを説明した。
 丸山代表は「気象などの悪条件を人の英知と技で乗り越えてきたのが北陸のみちづくり。これが担い手不足により継承されなくなっていいのか」と危ぐし、魅力ある産業を目指す上で「良い方向に向かおうとする企業理念を社員一人ひとりが体現しなければならない」と力を込めた。
 大川座長は丸山代表の言葉を引用しながら、「一方的な発信ではなく、対話、コミュニケーションによる相互理解が重要だ」とまとめた。
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