2015/09/15

【大丸心斎橋店本館】ヴォーリズ建築を保存 昭和初期の優れた百貨店建築を継承


 2015年内に営業を終了、建て替えを計画している大丸心斎橋店本館についてJ・フロントリテイリングは11日、外壁や建物1階の空間を保存する方針を示した。同社が有識者らを招いて設置した「保存検討委員会」の検討結果として明らかにしたもので、メンバーは委員長の加藤晃規関学大名誉教授を始め山形政昭大阪芸大教授、石田潤一郎京都工繊大大学院教授の3氏。事務局を日建設計が担当している。画像は御堂筋南西からの外観イメージ。

 同建物の持つ歴史的価値について委員会側は、「昭和初期の百貨店建築に見いだせる商業文化の優れた建築」と評価。新本館建設で「地域への集客効果が期待できるだけでなく、都市機能の強化と都市構造の再編に貢献する視点を持った計画としている」とした。内装についても「1階は意匠的評価の高いところ」だとして「引き続き調査を継続実施するとともに、今後の設計において、1階を中心とした空間保存を求めたい」としている。
 これを受け同社は、歴史的価値の高い御堂筋側の外壁を現在位置で保存、外装や躯体の健全性を確認しながら技術的な検討に入ることや、現本館1階の内部空間の継承を図るとの方針を示している。今後のスケジュールなどは明らかにしていない。
 本館(大阪市中央区心斎橋1)はSRC・RC・S造地下3階地上8階建て塔屋5層延べ4万6144㎡。設計をウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けた。J・フロントリテイリングは14年に同店の再開発計画を発表。これに対し日本建築学会が要望書を提出するなど、建物の保存活用を求める声が挙がっていた。
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