「厚さ0.8mmのシートの威力をもっと知ってもらいたい」と話すのは新日鉄住金チタン・特殊ステンレス営業部チタン第三室の定榮弘三主幹だ。シートは厚さ0.1mmのチタン箔(はく)に粘着加工を施したもの。鋼橋の劣化しやすい部分に貼り付け、その上から塗装するだけで耐食性を大幅に向上できる。最近では、新潟大橋に試行導入した。
チタンの比重は鋼材の6割程度だが、引張強度は鋼材並み。海洋環境でも優れた耐食性を発揮する。高価な素材だが、チタン箔自体は薄く、橋の劣化しやすい部分にだけ貼るため、素材自体を多く使うことはなく大幅なコスト増にはつながりにくい。鋼構造物の部材端部や裏面、水の溜まりやすい部分にスポット的に使えば、効果てきめんだ。
同社は海洋構造物をチタンでカバーするTP工法の耐久年数50年にもめどを付け、防食工事市場へのチタン導入に力を入れている。世界的には全体の8割が自動車ボディー、家電、化粧品などに使われているチタンだが、近年は構造物の長寿命化素材としても注目を浴びている。
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