震災の津波により避難路が浸水したため、長期間にわたり孤立化した岩手県釜石市室浜地区。この室浜地区から同市片岸地区で国道45号にアクセスする県道吉里吉里釜石線の改良工事の一環として、県が整備を進めている室浜トンネルが待望の貫通を迎え、16日に現地で式典が開かれた。施工はピーエス三菱・近江建設JV。今後、覆工コンクリートや舗装工事などを進め、2016年3月の完成を目指す。写真は、貫通点で万歳三唱する森島修ピーエス三菱東北支店長(右から2人目)ら。
吉里吉里釜石線は室浜、片岸両地区を結び、水産業を支援する道路として活用されてきたが、津波により浸水したため、室浜地区の住民は孤立を余儀なくされた。
新たな県道は、当時浸水したTP(東京湾平均海面高)19.6m以上の位置に整備する。全体の長さは1680mで、17年度の開通を予定している。
このうち、今回貫通した室浜トンネルは長さ195m。14年12月に本格着工し、盛土で約14mのかさ上げを行った上で、ことし5月からトンネルの掘削を開始した。途中、地山の地質がもろい部分があったものの、補助工法を導入しながら約3カ月で貫通にこぎ着けた。
発破のスイッチを押す佐々木和延岩手県沿岸広域振興局長(左から2人目)、野田武則釜石市長(同3人目)ら |
この日の式典には、佐々木和延岩手県沿岸広域振興局長や野田武則釜石市長、森島修ピーエス三菱東北支店長、近江育夫近江建設社長らが出席。代表者4人が発破スイッチを押すと、坑内にごう音が響きわたり、貫通が確認されると出席者から拍手がわき起こった。
席上、佐々木局長は「ピーエス三菱・近江建設JVの施工により無事貫通できたことに感謝する。今後も関係者と一丸となって早期開通に向けて取り組んでいきたい」と語った。
野田市長は「新たな県道が開通すれば、室浜地区の皆さんも戻れるようになる。安全で、次世代につなげられるトンネルを完成させてほしい」と祝辞を寄せた。
この後、発注者と地元関係者、工事関係者らが貫通点で通り初めを行ったほか、樽御輿(みこし)の行進や鏡開きなどが行われた。
小原正直所長(ピーエス三菱)の話 「地質が悪い部分もあったが、補助工法で対応しながら順調に掘り進むことができた。今後も覆工や舗装などの工事が続くので、最後まで無事故・無災害で完成させたい」
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