関東・東北豪雨に伴い、10日に発生した鬼怒川堤防の決壊・越流などで大きな被害が出た茨城県常総市。国土交通省などの24時間態勢による排水作業などで、宅地や公共施設などの浸水が解消されたものの、その傷跡は大きく、市内各所で泥やゴミの撤去、道路清掃などの作業などが進められている。地域建設業の要として、復旧対応を担う茨城県建設業協会常総支部(新井淳一支部長)会員企業は最前線で奮闘している。写真は常総市三坂町の土砂撤去の様子。
支部長会社である新井土木の新井紀雄専務は「浸水が市役所のある水海道まで広がるとは思わなかった」と堤防が決壊した10日を振り返る。11日早朝から県の土木事務所の指示で会員各社が災害協定に基づく担当区間をパトロールし、被災状況や車両通行可能個所などを報告。行政機関との連絡が取りにくい状況下、「まず目に見えるところから」と会員企業による道路啓開などの復旧対応が始まった。県、市などと打ち合わせしながら、新井支部長の指揮でほかの市町村からも作業員などを集めて応急復旧を展開。これまで道路や側溝にたまった泥やゴミの撤去、道路清掃を始め、時間が許す限り、被災住民の家にダンプで駆けつけ、泥やゴミの撤去を無償で行ったり、仮置き場にあふれるゴミを重機でかき上げる作業など、「日ごとに変わる、工程表のない作業」を実施してきた。
堤防決壊個所の周辺部(9月23日撮影) |
新井土木は、鬼怒川の維持管理工事(守谷市~下妻市、長さ約30㎞)を請け負っている関係から、国土交通省関東地方整備局の依頼で13日から16日まで堤防の越流個所の復旧対応に24時間態勢で全力を挙げた。鉄板を敷いて工事ルートを確保し、整地してから土のう約1300袋を積み上げ、予定どおり完了させた。その間、筑西支部から延べ約150人が応援にかけつけた。その後、維持管理工事区間の被害個所にブルーシートをかけたり土のうを積むなど、水が引いた後のつめ跡での迅速な復旧作業に尽力している。
■堤防決壊個所の応急復旧が完了
国土交通省関東地方整備局が実施していた鬼怒川左岸21㎞付近の堤防決壊個所の応急復旧工事が24日夜、完了した。工事は11日に鹿島、大成建設の施工で着手。長さ201mにわたって壊れた堤防の応急復旧では、高さ4m、上部4m、下部8mの台形の荒締切を構築。使用土量は約2万m3に及んだ。16日に荒締切工をおおむね完了させた後、鋼矢板による締切工を急ピッチで進めていた。
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