2015/09/23

【けんせつ小町】好評だった女子小中生向け現場見学会 女性担い手確保に期待


 日本建設業連合会(中村満義会長)は、夏休み中の女子小中学生を対象に、女性職員や女性作業員が働く現場で「けんせつ小町活躍現場見学会」を開いた。7月24日の「(仮称)芝浦工業大学附属豊洲中学高等学校建設工事」を皮切りに、全国13カ所延べ210人の女子小中学生が参加する大イベントとなった。日建連ではこれまで、多数の現場見学会を開催してきたが、女子小中学生を対象とするのは初めて。

 この試みの背景には、日建連が掲げる『長期ビジョン』で90万人の新規入職者のうち、20万人以上を女性としたい目標がある。そのためには、早い段階から建設業に興味を持ってもらうことに加え、男性が主流のイメージがある建設業に対し、家族の理解を得ることも必須であると考えている。


 現場見学会では、工事事務所のなでしこチームや女性職員たちが中心となって、女子児童が興味を持ちそうな体験を企画した。なかでも児童からの人気が高かったのは、作業の体験コーナーだ。左官や鉄筋の結束、測量、壁紙貼り、タイル貼り、金具締めなど体験できる種類は多岐にわたった。飲み込みの早い児童も多く、職人から褒められ楽しそうに作業をする姿が見受けられた。
 また、建設現場ならではの普段目にしない重機が稼働している様子にも関心が集まった。パワーショベルやラフタークレーンの運転席での記念撮影を始め、高所作業を動かして現場付近を一望したり、お菓子のつかみ取りゲームをしたりと工夫を凝らしたことも興味を誘った。
 今回の見学会の中で、児童の目に最も印象に残ったのは、現場で生きいきと動く女性職員や作業員の姿だったといえる。将来は建設業に就きたいという思いを持って参加している児童からは、「何を勉強すればなれるのか」「子どもの時、工作は得意だったか」などの質問が挙がっていた。けんせつ小町たちは「家族や友だちを大事にして、何にでも興味を持つことが大切だ」などと応じていた。


 参加した児童のそばで同じくらい興味津々だったのが、その保護者たちだ。見学会に申し込んだ動機を尋ねると、保護者が情報を入手し、参加したケースも多かった。「夏休みの宿題に活用したい」「子どもの将来の幅が広がれば」と話す保護者がいる一方で「橋などの土木構造物はわくわくする」と児童と一緒に楽しむ保護者もいた。
 見学会後に行われた質疑応答では、保護者たちから「女性が働きやすいのか」「女性だから不利ではないのか」という質問が集中した。けんせつ小町からは「力仕事はできる男性にお願いする」「女性ならではの細やかな配慮が評価されている」などの回答があり、参加者には働きやすくなっているというイメージを与えていた。化粧台とシャワー完備のパウダールームが設置されている現場や女性用の安全帯など、ゼネコン各社にとっても女性活用に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールする場になったようだ。


 ほとんどの見学会でけんせつ小町たちには建設業に就いた理由について質問が及んだ。トンネルや商業施設などを幼少期に見て感動したからという理由のほか、父親など家族が建設業をしていたという答えも目立った。親からすれば、まだ女性が少ない業種というのは当然の認識であり、「反対された」と答える女性作業員もいた。「それでもなりたい」と認められるために修行を積んだ話や、「そこまで好きなら目指してみたら」と両親が背中を押してくれたといった入職のエピソードが披露された。
 この見学会をきっかけに、参加した児童の将来の選択肢が広がるとともに、建設業への女性進出に対する保護者や学校の先生たちの理解が進むことが期待される。
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