2015/09/19

【google×三菱地所】2030年・都市の未来像とは テラー氏(グーグルX)と隈研吾氏が講演


 グーグル社と三菱地所は11日、東京都千代田区の大手町フィナンシャルシティで「『2030年の都市の未来像を語る』シンポジウム~テクノロジーを活用した魅力ある街・社会のデザインとは」を開いた=写真。シンポジウムでは、米グーグル社の研究開発部門「グーグルX」統括で、自動運転車などの開発を手がけるアストロ・テラー氏が基調講演、東大教授で建築家の隈研吾氏が特別講演をそれぞれ行い、都市の未来像を探った。

 冒頭、三菱地所の林総一郎代表取締役専務執行役員が「東京五輪の10年後に、どのような都市になるのかを踏まえて2030年に設定した。テクノロジーもまちづくりも将来に向けたストーリーづくりを描くことが非常に大事だ」とあいさつした。

アストロ・テラー氏(グーグルX)

 テラー氏は将来の都市を考える上で「10%良くするのではなく、10倍良くすることを考えることが重要だ。同じコストがかかり、10倍の目標を達成できなくても、3、4倍は改善できる」と、高い目標を掲げる重要性を説いた。
 また、自身の経験からも「考えるだけではなく、失敗から学び、それを生かして改善する」ことが大切だとし、「失敗してもいいという環境をつくり、問題点を早く見つける」ことが結果的に近道になると語った。変化するテクノロジーを取り込むために「都市に柔軟性を持たせることが重要だ」とも強調した。

隈研吾氏

 これを受け、隈氏は自身が育った木造の家が「(生活環境に応じ)絶えず手直しを行った」ことに触れ、「木造のシステムは増築・改築が実に簡単にできる」とそのメリットを強調した。かつての日本は、「大工と依頼主が一緒になって、フレキシブルに絶えず街を造り替えていた」ものの、第2次世界大戦を経て、「木造の街は燃えやすいとして、社会はコンクリート、鉄の街をつくろうと方向転換した」と指摘した。
 その上で「“木造的なもの”をもう一度取り戻すことで、柔軟性を持ち、失敗しても取り返せる都市は造れる。テクノロジーの面でも、木を燃えなくする、木を腐らなくするという技術が進歩している」と力説した。
 最後に、自身が手がけた「浅草文化観光センター」(東京都台東区)、「シティーホールプラザ アオーレ長岡」(新潟県長岡市)、「la kagu」(東京都新宿区)を紹介した上で、木造建築によって「フレキシブルを取り戻す」と改めて訴えた。
 シンポジウムではこのほか、「新しいパブリックスペースのデザイン」「健康・高齢化を支える包容力の社会デザイン」と題したパネルディスカッションが行われた。
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