2015/09/16

【復興特別版】巨大ベルコン「希望のかけ橋」、土砂搬送を終了 1年半で約500万m3運ぶ



 岩手県陸前高田市の中心市街地復興を加速させる、巨大ベルトコンベヤーによる土砂搬送が15日終了した。津波により甚大な被害を受けた被災市街地のかさ上げ造成のため、高台の住宅移転地から約500万m3もの掘削土を、全長約3㎞のベルトコンベヤーで運んだ。1時間当たりの搬送能力は6000t。10t積みトラックで搬送すれば9年程度かかるボリュームを、2014年3月から1年6カ月というスピードで完了した。

 都市再生機構が市から受託した被災市街地復興整備事業の一環。調査・測量から設計、施工までの一体的業務を清水建設・西松建設・青木あすなろ建設・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業JVがCMR(コンストラクション・マネジャー)として担当している。「希望のかけ橋」と名付けられた、気仙川を横断する仮設橋を含め、来秋までにすべて撤去される。
 今泉地区の高台を切り崩すことで発生する土砂と岩石は約640万m3。これらを10t積みトラックで運ぶには9年程度かかることから、清水JVが事業受託者である都市再生機構に対してベルトコンベヤーによる運搬を提案・採用された。
 ベルトコンベヤーの長さは2970m。秒速約4.2mのスピードで、1時間当たり最大6000tの土砂を運んだ。気仙川に架けられた「希望のかけ橋」は、『奇跡の一本松』とならんで同市の復興のシンボルとして、市民や観光客に親しまれている。

土砂搬送停止のボタンを押す戸羽市長

 終了式では、戸羽太陸前高田市長が「仮設住宅に暮らす被災者が“ついの住み家”を見つけられるよう、住宅再建を進めることが最大の使命であり、ベルトコンベヤーによる土砂搬送が終了することで新たなステップに入る。今後も1日も早い復興を目指して取り組んでいきたい」とあいさつした。
 続いて都市再生機構の森本剛岩手震災復興支援本部長が「1年半で土砂搬送を終了できたことは、清水JVの努力のおかげだ。今後も安全・品質管理に万全を期し、工事を進めてほしい」と呼び掛け、これを受けて清水建設東北支店の枝松勲副支店長も「きょうを一つの通過点として、1日も早い復興を目指してさらなる努力を重ねていく」と決意を表した。
 この後、戸羽市長が土砂搬送停止のボタンを押すと、ベルトコンベヤーが静かに停止した。
 ベルトコンベヤーは今後、10月から解体作業が行われ、16年3月までに仮設橋以外の部分を撤去。その後、仮設橋を同年秋までに撤去する予定だ。
 峯澤孝永統括管理技術者(清水建設)の話「ベルコンによる土砂搬送が終了したが、一つの通過点に過ぎない。事業は約4割程度の進捗であり、今後も気を引き締めて工事を進めていきたい」
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