2015/09/22

【本】魅惑の地下空間案内書、見学可能施設紹介も充実! 『地下をゆく』


 地下といえば地下街や地下鉄が一般的だが、そのほかにもあまり知られていない地下の世界を取り上げている。埼玉県春日部市にある国土交通省の首都圏外郭放水路は、「地下のパルテノン神殿」とも呼ばれ、洪水を防ぐための調整槽とは思えない魅力的な空間だ。

 同様に神殿をイメージさせる大谷石採掘場跡(宇都宮市)は、テレビや映画のロケに使われるだけでなく、内部が一定の低温で保たれているという利点を生かし、ハムの天然熟成にも利用されている。大谷石に含まれているゼオライトは脱臭効果があるため、ハムの味がアップするという。人工的な地下施設のほか、自然が造った洞窟として、沖永良部島の鍾乳洞や銀水洞、水連洞なども紹介している。
 第5章は、見学できる施設を特集。幌延深地層研究センター(北海道幌延町)は、放射性廃棄物を地下の深いところで処分する技術を研究している施設で、予約をしなくても無料で見学できる。夕張探鉱(北海道夕張市)や足尾銅山(栃木県日光市)、石見銀山(島根県大田市)など鉱山関係の施設は有料が多い。
 変わったところでは、東京湾アクアラインの避難通路、日本銀行本店の地下にある旧金庫、ミニビッグバンをつくり宇宙誕生の謎を研究しているSuperKEKB加速器(茨城県つくば市)も無料。
 (イカロス出版・1600円+税)
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