「どうすれば個人の名の下に活動する建築家が存在感を示せるのかにこだわった」。新国立競技場の設計提案競技に再度参加した理由について、建築家の伊東豊雄氏はそう振り返る。「参加した当初からアウェーだと感じていた」という中で挑戦したのは、建築家の存在意義が失われることへの危機感があったという。
「勝ちたかったという思いはある」としつつ、デザインビルド(DB)方式により施工者と協力して議論を展開できたことは大きな収穫だったという。「DB方式には建築家からの批判もあるが、今回はそうしたレベルを超えて設計者と施工者が議論し、設計事務所だけではできない提案になった。敗れはしたが、満足できる提案ができた」
2回目の提案を通じて、改めて「主催者がリスクを避けることばかりを重視しており、本当に良い建築をつくろうとしているのか疑問を感じた」とも。今後も発注者の動きを注視し、「より良い建築になるよう国民として働きかけていきたい」と語る。
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