2016/03/28

【南三陸町役場】つながる“マチドマ"17年9月完成へ 歌津支所が本格着工

役場庁舎の完成模型
東日本大震災の津波で全壊した宮城県南三陸町の本庁舎と歌津総合支所の新築工事が24日、錢高組・山庄建設JVの施工で本格着工した。設計・監理は久米設計が担当。2017年9月の完成を目指す。
 同町は、志津川町と歌津町役場が合併して05年10月に誕生。旧志津川町役場を本庁舎、旧歌津町役場を総合支所として利用していたが、ともに11年3月の震災で全壊し、仮設庁舎で業務を行っている。


歌津支所の完成模型
本庁舎は15年12月に移転開業した南三陸病院・総合ケアセンターや災害公営住宅などに隣接する志津川東地区高台造成地に移転する。「人と人、まちとまちがつながる広場型タウンセンター」をコンセプトに、明るい“マチドマ(屋内広場)"空間に町民が集まる活気ある庁舎をつくり上げる。
 規模はRC、S・木造3階建て延べ3772㎡。低層棟は町産スギ集成材の梁とRC壁、高層棟は耐火と高耐震のS造で構成し、1階にマチドマと窓口部門、2階に企画総務課や特別職の執務室、3階に議会関連部門を設ける。
 マチドマはフルオープン可能な建具を採用し、外からも活気が感じられる設計とした。ペットボイラーによる床暖房、天井ダクト空調、床輻射空調など空間の大きさや使い方に応じた設備計画としている。建設地は同町志津川字沼田207。
 一方、本庁舎と同じマチドマの概念を共有した歌津総合支所は、同造平屋建て1298㎡。支所と保健センター、公民館の各機能を備える複合施設で、マチドマとサンルームを中心に会議研修室や調理室、図書室などを取り囲むように配置している。建設地は同町歌津字枡沢28-1。
 同町産木材は15年11月に森林管理協議会(FSC、ドイツ)の国際的な環境認証を取得。梁などに町産スギ集成材を積極的に活用しており、町産木材のブランド化に向けたショールームとしての役割も期待される。
 神事には佐藤仁町長や沼倉満夫久米設計東北支社長、錢高組の錢高久善取締役副社長役員、木村匠一郎執行役員東北支店長、山内学治山庄建設社長ら関係者約50人が出席。代表者が鍬(くわ)入れした後、神前に玉ぐしをささげ、工事中の安全を祈願した。
 あいさつに立った佐藤町長は「町民の使いやすさや震災を踏まえた災害対策本部のあり方、町産木材の積極的な活用という要望に応えてくれた久米設計と隣接する病院を施工した錢高組を信頼している。安全に留意して“まちの顔づくり"を進めてほしい」と語った。
 小野正人現場代理人(錢高組)の話 「役場と支所2つの工事をしっかりと分け、工程を管理していく。工期を厳守し、無事故・無災害で高品質の建物を引き渡したい」

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