静岡県が、富士山の保存管理と情報発信の拠点として整備する富士山世界遺産センター(仮称)が本格着工、建築施工の佐藤工業・若杉組JVなどは24日、富士宮市宮町の建設地で安全祈願祭を開いた。設計は坂茂建築設計が担当。富士の自然循環を体感し、その魅力を国内外に発信する施設は、2017年7月の完成を目指す。
同施設はS造5階建て延べ約3400㎡。建築以外の施工は電気が住友電設、機械は須賀工業、展示を丹青社が担当する。工事費は約30億8700万円。
神事には川勝平太知事、建築家の坂茂氏、佐藤工業の元茂孝善代表取締役兼専務、住友電設の蛭田耕一郎中部支社長、須賀工業の神澤和行常務取締役名古屋支店長など約100人が出席。代表者による鍬(くわ)入れの後、神前に玉ぐしをささげて工事の安全と早期完成を祈願した。
同センターは「守る」「伝える」「交わる」をメーンコンセプトに掲げ、富士山をモチーフにした芸術作品などを展示、世界文化遺産としての価値を発信する。らせん状の格子構造とした展示室は中央のエレベーターコアを取り巻く斜路に沿って配置。頂上のフロアには富士山を一望するピクチャーウインドーを設置し、「富士山の魅力を学んだ後に初めて本物の富士山に出会う構成」(坂氏)とした。
神事後にあいさつした川勝知事は「富士山は2年前に世界遺産として登録され、日本の信仰の対象と芸術の源泉として世界から認められた。富士山の魅力を世界に発信する拠点として、その裾野のように多くの市民に支えられ末長く愛される施設になってほしい」と語った。
坂氏は「富士山は国家や市民のシンボルであると同時に、平和のシンボルでもあると感じる。その価値を県民や市民だけでなく、世界に伝えるセンターにしたい」と意気込みを語り、元茂専務は「富士山の水の循環というテーマがインパクトのある設計にあらわれた施設だと感じる。施工者が一丸となり、無事故・無災害の竣工に向けて全力を尽くしたい」と決意を表した。
平野敦作業所長(佐藤工業)の話 「歴史と地図に残る建物であり、誇りを持って工事に取り組む。富士山を象徴する、木格子を組み込んだ外郭の曲面体を始めとして難度が高い建物だが、しっかりと施工図を検討し、工事車両動線など周囲の安全確保を徹底しながら完成させたい」
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