2016/03/13

【現場の逸品】手ぶらで状況把握! ブラザー工業が建設現場向けHMD製品化へ


 産業機器メーカーのブラザー工業が、業務用ヘッドマウントディスプレー「AiRScouter(エアスカウター)」の建設現場用モデルを製品化する。開発担当自らが過酷な建設現場に出向き、「ほこりをかぶっても、雨に濡れても問題のない」製品を具体化した。現場の状況をリアルタイムに情報共有する新しいツールとして売り込む。

 ディスプレーはヘルメットやヘッドバンドに固定し、電源ボタンのあるコントロールボックスとつないで使う。あくまでディスプレーであるため、使い方については工夫が必要だが、AV機器向けのHDMI端子で小型の受信機と接続し、送られてくる画像を表示したり、カメラを搭載して映像を相互に交換する使い方もある。ディスプレーには透過と非透過の両方のモードがあり、距離は個人の視力によるが、奥行きは段階ごとに調整でき、1m先に設定すると、13インチの画面を表示しているような使用イメージだ。
 当然のことながらノートパソコンやタブレット端末を手で持ち運ぶ必要がなくなり、手が自由になるメリットに加え、近年になって活躍が目立ってきたドローンの動きを、肉眼で見ながらコントロールし、同時にカメラ映像も見るといった活用方法もある。橋や高速道路の劣化検査、現場の空撮や設備の確認・計測、樹木の育成状況の確認など多様な用途に生かすことができる。

カメラと連携させて死角をなくせば、現場の事故を防止できる

 建設現場ではバックホウを運転しながら、視界の隅に機器のデータや車両後部に取り付けたカメラの映像を表示させるほか、現場にいる人がディスプレーに取り付けたカメラの映像を司令部に転送し、送られてきた指示映像を見ながら両手で作業を進めるといった方法もとれる。大学などで活用法の研究を進める動きもあり、用途は今後も広がる。情報化施工が進むこれからの建設現場で、必需品になる可能性を秘めている。
 見やすさの点では、ディスプレーに高品質な液晶パネルを採用し、映像は独自の光学設計で、明るくシャープな高解像度映像を表示させる。映像の焦点距離は奥行き30cmから5mまで自在に合わせられ、目も疲れにくい。
 現在は建設現場に適した使い方を模索している段階だが、市場には大きなポテンシャルがあると同社は考えている。15年7月に発売した一般業務用の販売目標は、15年下期から18年上期までに1万2000台を見込む。建設現場向けは、17年以降の1年半で4000台を売り上げる計画だ。
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