東京のJR渋谷駅周辺で整備が着実に進展している「渋谷駅街区東棟新築工事」「渋谷駅南街区プロジェクト新築工事」。両現場には、施工を担当する東急建設と福井コンピュータが共同開発した、資機材搬入車両やクレーン揚重作業のスケジュールを一元管理するシステム「DandALL(ダンドール)」が導入され、効果を上げている。スマートフォンやタブレット端末で現場内のどこからでもスケジュールの登録や閲覧が可能なため、工事関係者間のリアルタイムな情報共有を実現し、搬入待ちや揚重待ちなどのタイムロスを削減できる点が大きな強みだ。画像は搬入車両と揚重作業のスケジュールを表示した画面
通常、現場の搬入車両の予約は前日までに確定する必要があり、これまでは協力会社の職長が現場の担当職員に口頭で説明して予約を調整し、ホワイトボードや表計算ソフトでスケジュールを管理していた。大規模工事の現場は現場全体の予約調整に時間を取られていたほか、予定の変更があった場合には確認のため事務所に戻るなどの手間がかかっていた。
ダンドールはスマートフォンやタブレット端末の画面上に、ゲートに入る予定車両の情報が時間軸で表示される。さらに、資材搬入を担当する協力会社名やナンバープレートの番号、運転手名、運転手の携帯番号など、ゲートの出入りを管理するガードマンが必要な情報もまとめられている。車両の遅延があっても即座にスケジュールを修正でき、リアルタイムで情報共有できるため、搬入待ちや揚重待ちなどのタイムロスを避けられる。
スマホで搬入車両の情報を確認できる |
開発に当たっては、両現場の職員と毎月1回ミーティングを実施して、システムへの具体的な要望を収集した。開発に携わった東急建設の池田直広技術研究所建設ICTグループリーダーは「当初は搬入車両の予約のみのシステムを考えていたが、現場から揚重と連携したシステムにしてほしいという要望があった」と振り返る。これを基に、福井コンピュータがシステム開発を進め、2015年10月に両現場に導入された。
両現場はことしの12月以降に最盛期を迎え、それぞれ月間5000台を超える車両が資機材を搬入する予定だ。現在の車両数はピーク時の1割から3割程度だが、池田氏は「システムの導入は、予約の事前調整の効率化に効果を発揮している」と成果を語る。
ダンドールはすでに福井コンピュータが外販しており、渋谷の両現場での改善要望などは定期的な改良開発でシステムに反映されている。池田氏は「システムが業界に広く普及し他社の現場にも導入が進めば、協力会社の職長が利用する機会も増え、教育する手間も省ける。業界全体の効率化を考えた場合、より広まることでさらに便利になるシステムだ」と各現場での普及に期待を寄せる。
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