2016/09/23

【ガイアートT・K】広報活動実り全国で100件採用! 滑らない縦溝粗面舗装「FFP」


 「滑らない舗装をつくることがわれわれの使命」とガイアートT・Kの前山俊彦社長は力を込める。同社が開発した縦溝粗面型ハイブリッド舗装「フル・ファンクション・ペーブ(FFP)」の採用実績は着実に積み重なり、近年では凍結抑制対策だけでなく事故防止対策を目的とした採用も増加している。これまで全国各地で計100件採用され、累計施工実績は20万㎡を超えた。同社はFFPを「総合的舗装技術」ととらえ、アスファルトフィニッシャーの改良などにも取り組み、全社一丸となって施工品質の向上に努めてきた。

 FFPは、混合物1層仕上げで上部に厚さ10mm程度の排水性機能、下部にマスチック砕石と同等の防水性機能を備えた多機能型の舗装。特徴は40mm間隔の縦溝を施した粗面構造で、視認性やすべり抵抗、骨材飛散抵抗性などに優れる。積雪寒冷地では、散布した凍結抑制剤が縦溝内に残存するため、長時間にわたり効果が持続し、凍結防止やブラックアイスバーンの抑制に効果を発揮する。
 開発に着手したのは2010年。自身の出身地で支店長も務めるなど長く北海道で過ごしてきた前山社長は「スリップ事故防止のためにも凍結抑制舗装の必要性を感じた」と振り返る。それまで主流だった排水性舗装は、舗装内に染みこんだ浸透水の影響で下部舗装の品質劣化を進行させることが課題だった。特に北海道などの寒冷地では、空隙部に残留した水の凍結膨張が原因で舗装が破裂して路面状況が悪化するため、走行車両のタイヤのパンクなどが発生していた。そこで表面は排水性に優れた粗面で、かつ下部には防水性を備えた混合物1層の舗装技術の開発を技術研究所と機械センターが一体となって進めてきた。
 当初はアスファルト合材の配合を工夫して表面を粗面にしていたが舗装面によりムラが出ていたため、施工機械で粗面にする方法を軸に試行錯誤を重ねた。タンパ部に取り付けたビットで溝を生み出し、新たに開発したアスファルトフィニッシャーの特殊スクリード「シニックスクリード」で縦溝を鮮明化することで、耐久性のある縦溝粗面を実現した。

軽井沢駅前に施工されたFFP

 FFPを高水準でかつ均一に施工するためにアスファルト合材の温度低下対策にも力を入れた。アスファルトフィニッシャーのホッパー部を排気熱で加温する「サーマルホッパ」やダンプ運搬時の温度低下を抑える特殊保温シート「Gシート」などを開発し、導入を進めた。鈴木英治技術研究所技術担当部長は「FFPは1つだけの技術ではなく施工機械の改良なども含めた総合的な舗装技術だ」と強調する。

埼玉県建設資材県産品フェアにも出展しPR

 施工実績を伸ばした背景には、FFPの認知度を高めるための着実な広報活動がある。全国から営業担当者を集めて教育活動を実施することで、FFPの概要や営業戦略の共有を図った。高速道路会社(NEXCO)の管理事務所や自治体の新技術発表会などでプレゼン活動を積極的に展開したほか、施工デモンストレーションの実施や見学会などを通じてFFPの周知に努めた。村田誠治営業部長は「見学会で多くの人にFFPの効果を実感してもらうことが採用につながっている」と手応えを口にする。
 6月に開かれた国土交通省近畿地方整備局研究発表会では、FFPを施工した名阪国道の米谷カーブと大道カーブでの事故件数低減効果に関する論文が発表され、事故抑制やコスト低減などで有効な工法と評価された。前山社長は「発注者側に効果を認められたことは採用への追い風になる」と期待を込める。今後の目標について「これまで施工したFFPの効果が伝われば採用実績はさらに伸びる」として、累積実績に並ぶ年間20万㎡の施工を視野に入れる。
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