2016/09/07

【台風10号被害】東北地整と建設企業が懸命の災害対応 岩手県沿岸部で道路啓開や被災調査


 台風10号により甚大な被害を受けた岩手県沿岸部で、東北地方整備局を始めとする国土交通省の各整備局および建設企業の職員らが懸命な対応に当たっている。写真はテックフォースによる岩泉町の被災状況調査(提供:東北地方整備局)

 5日時点で東北整備局から自治体に派遣されたリエゾン(情報連絡員)は延べ約120人、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊=テックフォース)は東北、北陸、中部、近畿の各整備局を中心に延べ約630人に上っている。
 台風10号は8月30日、観測史上初めて東北の沿岸部に上陸。岩手県岩泉町や久慈市、宮古市などに大きな被害をもたらした。東北整備局では、直轄施設の被害が軽微だったことから、自治体支援に力を集中。同日からリエゾンの派遣を開始し、31日にはテックフォースの先発隊を岩泉町に送った。
 岩手県および岩泉町からの要請を受けて31日から国道106号と同455号の道路啓開をスタートさせた。陥没部分には、復興支援道路・宮古盛岡横断道路のトンネル工事で発生したズリを投入している。
 さらに3日から国道340号の啓開も加わり、4日には現地視察に訪れた石井啓一国交相に伊達勝身岩泉町長が県道普代小屋瀬線の啓開を要請。現在、4路線の啓開作業がゼネコン、地元建設企業の協力を得て行われている。

UAVで撮影した国道455号の復旧作業状況(岩泉町) 提供:東北地方整備局

 テックフォースがUAV(無人航空機)を使って行った被災状況調査の画像は、動画共有サービス「You Tube(ユーチューブ)」で配信している。また、テックフォースは孤立集落の調査にも協力している。
 5日に仙台市青葉区の東北整備局災害対策室で開かれた災害対策本部会議では、テックフォースらの活動状況が報告された。
 会議後、川瀧弘之局長は「東日本大震災を経験したことにより、リエゾンやテックフォース、災害対策車の派遣が非常にシステマチックにできている。情報発信についても一般の人たちに見てもらえるようにUAVなどを活用している。今後も自治体支援に最大限の努力をしていきたい」と話した。
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