熊本城の飯田丸五階櫓(やぐら)を覆うように伸びた「鉄の腕」。大林組が櫓の倒壊防止に2カ月という短期間で施した緊急対策だ。上から覆うように仮設の架台を組み、荷重を受ける梁によって櫓を抱え込むように設置されている=写真。
鉄の腕は最大で45tもの荷重を支えられるが、床下とは接してない。荷重受梁と床下の隙間には薬液袋を置き、あえて床下とは2cmの隙間を設けた。現場では架台の設置を終え、櫓の床下を近くで見て急きょ隙間を設けることに計画を変更した。
床下は木材が割れ、ほぞがずれた状態でかろうじてバランスを取っている状態。無理に床下から押し上げた場合、櫓全体のバランスを崩してしまいかねない危険性があったためだ。現場のアイデアと判断、そして同社の技術力が熊本城の支えになっている。
熊本城天守閣復旧整備は現在、熊本県が設計・施工者からの技術提案書を受け付けており、10月下旬にも優先交渉権者が特定される。
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