インテリアや展覧会の会場構成から家具、プロダクトデザインまで、建築にとどまらない幅広い領域でデザイン活動を展開する建築ユニット、トラフ建築設計事務所の展覧会「インサイド・アウト」が、東京・南青山のTOTOギャラリー・間で開かれている。
ホテルの小さな客室のリノベーションをきっかけに、鈴野浩一氏と禿真哉氏によって設立された同事務所は、2004年の活動開始以来200を超える作品を手掛けてきた。広範な活動はあくまで建築的な思考をベースとしながらも、分野の境界にとらわれることのない自由な発想で常に新鮮な驚きを与えている。
今回の展覧会では、これまで手掛けてきた作品や現在進行中のプロジェクトまで、その過程で生み出された「100の思考」の断片を、第1展示室に設置した大テーブルにフラットに並べて、風景のような展示空間をつくり出している。それは「都市>建築>インテリア>家具>モノ」といったヒエラルキーにとらわれないアプローチをしてきたことを表象するものであり、第1展示室のテーブル上を縦横に走るNゲージの車両からのトレインビューで自在にスケールを行き来する、第2展示室でのムービーは、トラフの創作現場に入り込むようなライブ感を楽しめるものとなっている。
禿真哉氏(左)と鈴野浩一氏 |
15日のオープンに先立ち、14日にプレスカンファレンスがあり、鈴野、禿両氏が展示の趣旨や見どころなどを説明。「家具をつくる時は建築のように、建築をつくる時は家具のように、人の居場所をつくる家具、人の行動に寄り添った建築」「意識や視点を転換し身の回りの環境から都市そのものの環境を変えていく」などとスケールを自在に横断していく独特の創作姿勢を語った。
会期は12月11日まで。月曜・祝日は休館。無料。10月22日に金沢市の金沢工業大学23号館、27日には東京都千代田区のイイノホールで講演会も開く。
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