鉄建は19日、千葉県成田市にある同社建設技術総合センターで視覚障害者向けの鉄道体験会を開いた。模擬線路で普段は触れることができないホームの構造や列車非常停止警報装置などを体感し、鉄道利用時の事故防止策などを学んだ。視覚障害者によるホームからの転落事故が相次ぐ中、事故防止の一翼を担う取り組みとして注目される。
同社は2011年から千葉県立盲学校の生徒の体験学習に協力。今回は同校から紹介された市原市福祉会館(森千枝美館長)の社会適応訓練に参加している視覚障害者10人と介助者10人の計20人が参加した。
この日は、同社が誇る延長約150mの複線線路にあるホームと踏切設備を使ってホーム下の構造やレールの位置関係などを体感。同センター職員が、非常停止ボタンや転落検知マットなど安全設備の位置や仕組みなどを解説するとともに、事前に調査した市原市内の鉄道駅の安全設備などの現況なども踏まえながら、転落などの事故防止対策や万が一転落した場合の避難方法などを紹介した。
実際に線路に転落した経験があるという視覚障害者の男性は「ホーム柵や点字ブロックは重要だが、こうした体験が転落事故防止に役立つ」と体験会を振り返った。
同センターの鈴木武臣所長は「事故が起きて初めて気付かされることがある。設備をより有効に利用することでわれわれもやりがいをもてる」とし、施設の積極的な利用を求めた。森館長は「こうした体験は初めて。学んだことを頭の中で復唱し、安全に鉄道を利用したい」と謝意を示した。
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