2016/10/16

【建築文化保存協会】建築模型をテーマに連続講演会 17年3月まで10回開催


 日本建築文化保存協会(三宅康之代表理事)は、建築模型をテーマとした連続講演会「建築家が創造する建築文化の未来-建築模型、その価値と可能性-」を2017年3月まで、合計10回にわたって開催する。毎回著名な建築家らをゲストスピーカーに招き、さまざまな角度から建築模型と建築文化の今後の可能性を展望する。初回は構造家の齋藤公男日大名誉教授・A-Forum代表が「空間 構造 物語」と題して講演。空間にエンジニアリングの醍醐味を入れ込む上で模型の果たす役割の重要性などについて語った=写真。

 講演会は、建築模型に特化したわが国唯一の展示施設・建築倉庫ミュージアムが協力、入居する東京都品川区の寺田倉庫本社ビルの2階にあるギャラリースペース「T-ArtGallery」を会場に行う。
 皮切りとなった齋藤氏の講演会は9月28日に開かれ、イメージとテクノロジーの融合に言及した。現代のアーキテクチャーとエンジニアリングの分離は「たまたま別れているだけ」とし、合理的で美しい建築を実現するには建築模型を通じて両者を近づける「アーキニアリング・デザイン」が求められていると語った。
 具体例として力学的に合理的ながら施工性やメンテナンスで合理的とはいえない事例を紹介し、「構造は安全で合理的でなければならないが、全体の合理性や美しさも追求しなければならない」と強調。そのためにも模型で合理性と美しさを確認する必要性が高まっているとの考えを示した。
 第2回は、日建設計で模型製作を担う廣畑哲治氏と、山梨知彦常務執行役員設計部門副総括・山梨グループ代表をゲストスピーカーに招き、「建築模型を考える」-日建設計はなぜ、建築模型をつくってきたのか-をテーマに26日に開く。
 11月2日に開く第3回は「ポスト・プロジェクト」-想像力との会話-がテーマで、ロシアのサマラ国立建築大学からセルゲイ・マラホフ教授とエフゲニア・レーピナ准教授を招く。
 いずれも開演は午後7時から。問い合わせは日本建築文化保存協会事務局・電話03-4405-6274。

 第4回以降の開催予定とゲストスピーカーは次のとおり(敬称略)。
▽第4回=11月30日、隈研吾(隈研吾建築都市設計事務所)
▽第5回=12月14日、小嶋一浩、赤松佳珠子(シーラカンスアンドアソシエイツ)
▽第6回=2017年1月11日、アストリッド・クライン、マーク・ダイサム(クライン・ダイサム・アーキテクツ)
▽第7回=1月25日、原田真宏、原田麻魚(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)
▽第8回=2月22日、加茂紀和子、曽我部昌史、竹内昌義、マニュエル・タルディッツ(みかんぐみ)
▽第9回=3月8日、槻橋修(ティーハウス建築設計事務所)
▽第10回=3月29日、建畠哲(多摩美術大学学長)
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