2016/10/20

【大成建設】福島第一原子炉格納容器の燃料デブリ除去にめど 切削用遠隔ボーリング技術


 大成建設は、福島第一原子力発電所の原子炉格納容器(PCV)内にある燃料デブリ(核燃料・炉心溶融体)を除去する切削用遠隔ボーリング技術にめどを付けた。資源エネルギー庁の補助事業として2015、16年度の2カ年計画で開発を進めており、既に模擬デブリ試験体の切削試験で一定の成果を出し、現在は施工精度を高める調整作業の段階に入ったという。画像は福島第一原子力発電所のライブカメラより

 燃料デブリは冷却材の喪失で原子炉燃料が溶融し、原子炉構造材や制御棒とともに冷えて固まったもの。福島第一原発では圧力容器内だけでなく、格納容器下部にまで広範囲に存在しており、物量として800tにも達する。高硬度で多様な物性であるため、同社の進めるボーリング技術以外にレーザーなどで切削する技術開発も進められている。
 同社は、ダイヤモンドビットの設計とともに対象物に応じた自立運転のボーリングロボットも開発中。模擬試験では2分の1サイズとなる径46mmのビットを使い、ステンレススチールとアルミナの模擬試験体を15分間で約5cm切削できる性能を確認済み。
 同社は、切削後の燃料デブリを粉砕し、分離除去するまでのシステムについても合わせて研究を進めているという。ボーリングによる切削は米国のスリーマイルアイランド原子力発電所燃料除去でも実績があり、廃炉作業に向けた有効な工法として期待されている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【素材】塩ビ製鳥居が口コミで話題に 震災後に注文急増 多賀城市の柏木神社 管工事業を営む中島ビニール加工(茨城県日立市)に転機が訪れたのは1994年。地元の神社で木製鳥居が劣化していることを聞き、試しに塩ビ管で鳥居をつくり奉納した。それがきっかけとなり、噂は口コミで全国の神社に広まった。 東日本大震災では、被災地を中心に多くの鳥居が損壊・倒壊したほか、津波で流されてしまったケースもあった。塩ビ工業・環境協会(東京都中央区)は「復旧では河川堤防や国道などの社会基盤が優先されてきたが、ここに来てよ… Read More
  • 【素材NOW】「世界最小・満足最大」トイレを実現した焼物×ハイテク技術力 LIXILのタンクレストイレ「SATIS」が、2001年の販売開始からことし5月末までで、累計出荷台数100万台を突破した。「世界最小・満足最大」「トイレを応接間にする」をコンセプトに発売した当初から、奥行650mmのサイズを維持しながら、機能とデザインを進化させてきた。下支えするのは、焼物とハイテクを融合させた日本の技術だ。写真はタンクレスの内部構造。  トイレの鉢が陶器であることは知っていても、窯で焼くところまで見たという人は多くないだ… Read More
  • 【素材NOW】トンネルに橋に農業用水路に! インフラ長寿命化に発泡ウレタン  「ウレタン補修のニーズが拡大している」と、アキレス開発営業部の田中弘栄主任技術員は強調する。トンネルの覆工コンクリート背面に生じた空洞を補修する発泡ウレタンの適用件数はことしに入り、9月末までに前年実績に並んだ。東京都内では陸橋の長寿命化対策に適用される事例もあり、インフラ構造物を支える素材としてウレタン活用の可能性が広がってきた。写真は豊玉陸橋の桁下に発泡ウレタンを充填している様子。  同社が軽量盛土の工法として、発泡ウレタンの提供を… Read More
  • 【現場の逸品】油を使わないアスファルト合材用付着防止剤 ダンプトラックに散布するアスファゾール 「単月の販売実績は前年を2倍近く上回っている」と胸を張るのは、日油の油化事業部で営業担当を務める浅倉一巌さん。2009年からアスファルト合材の付着防止剤『アスファゾール』を販売してきた同社では、12年夏に新製品『アスファラブ』を市場投入した。「実はこれが予想を上回る勢いで、好評を得ている」そうだ。 ◇従来の軽油は安全面に課題  アスファルト合材は製造から輸送、施工に至る各過程で、金属表面などに付着… Read More
  • 【素材NOW】5種類のカギが選べる! リフォームもスピード施工「NEWポケットKey」 「新次世代型」と力説する松山義治氏(YKKAP) 「どれにも対応する新次世代型」と力説するのは、YKKAPの松山義治エントランスドア商品室リーダー。自身のポケットから取り出したのはリモコンキー、カードキー、おサイフケイタイ、Edyカード。「小さなお子様にはシールキーを」とつけ加える。  同社が1日から発売した玄関ドア向け電気錠を搭載した『スマートドア』シリーズの最新版「NEWポケットKey」は、使う人の好みに合わせて5種類のカギが選べ… Read More

0 コメント :

コメントを投稿