大成建設は、福島第一原子力発電所の原子炉格納容器(PCV)内にある燃料デブリ(核燃料・炉心溶融体)を除去する切削用遠隔ボーリング技術にめどを付けた。資源エネルギー庁の補助事業として2015、16年度の2カ年計画で開発を進めており、既に模擬デブリ試験体の切削試験で一定の成果を出し、現在は施工精度を高める調整作業の段階に入ったという。画像は福島第一原子力発電所のライブカメラより
燃料デブリは冷却材の喪失で原子炉燃料が溶融し、原子炉構造材や制御棒とともに冷えて固まったもの。福島第一原発では圧力容器内だけでなく、格納容器下部にまで広範囲に存在しており、物量として800tにも達する。高硬度で多様な物性であるため、同社の進めるボーリング技術以外にレーザーなどで切削する技術開発も進められている。
同社は、ダイヤモンドビットの設計とともに対象物に応じた自立運転のボーリングロボットも開発中。模擬試験では2分の1サイズとなる径46mmのビットを使い、ステンレススチールとアルミナの模擬試験体を15分間で約5cm切削できる性能を確認済み。
同社は、切削後の燃料デブリを粉砕し、分離除去するまでのシステムについても合わせて研究を進めているという。ボーリングによる切削は米国のスリーマイルアイランド原子力発電所燃料除去でも実績があり、廃炉作業に向けた有効な工法として期待されている。
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