2016/10/15

【サントリーホール】開業30周年! 多様な連携でまちを成長させるエリアマネジメント


 ことし3月に開業30周年を迎えた森ビルのアークヒルズ(東京都港区)。職住近接、都市と自然との共生、文化発信といった理念を織り込んだヒルズシリーズの原点でもある。その一画にある「サントリーホール」は、都内初のコンサート専用ホールとして30年前の10月12日に開館し、昨年末までに延べ1万6570公演が開催され1743万人が来場した。アジアを代表するクラシックの殿堂であり、大きな磁力を持つ文化発信施設だ。写真はアーク・カラヤン広場で行われた「ライブ・ビューイング」

 2011年から毎年開催している「アークヒルズ音楽週間」では、ビルや施設、街区の垣根を越えて周辺エリアのさまざまな施設でコンサートが開かれる。ことしは今月1日から15日までの開催で、会期を2週間に拡大して特別企画も盛り込んだ。

◆多様な関係者と連携
 目玉イベントの1つが、1日と2日に開かれた「サントリーホール30周年記念ガラ・コンサート」で、ズービン・メータ氏と小澤征爾氏の指揮にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団という豪華な組み合わせが実現した。
 アーク・カラヤン広場では、このコンサートを無料で上映する「ライブ・ビューイング」が行われた。「多くの人たちに無料でカジュアルに、上質な音楽に触れてもらいたい」(森ビルタウンマネジメント事業部の田中巌アークヒルズエリア運営グループチームリーダー)というコンセプトだ。

ホール屋上のルーフガーデンを一般公開しコンサートが開かれた

 音楽週間中はこのほか、親子向けの体験コンサートや本物の楽器に触れるイベントに加え、美術館や大使館、ホテルなど周辺のさまざまな施設でコンサートが開かれる。もちろん、泉ガーデンタワーの住友不動産、赤坂インターシティの新日鉄興和不動産など、同業他社とも連携している。「われわれ(森ビル)だけでは、できることに限界がある。エリアのさまざまな関係者と連携して地域の魅力向上、ひいては東京の魅力向上につなげたい」(田中氏)。

◆他社との協働も加速
 こうした多様な連携は、音楽イベントだけにとどまらない。例えば、春に桜が開花すると、エリア全体で同じ照明を使ってライトアップし、全長1㎞の桜並木が幻想的な雰囲気に包まれる。ことし3月には、住友不動産、新日鉄興和不動産、森ビルの3社で赤坂一丁目・六本木一丁目周辺のエリアブック『good things』を発行し、3社協働のエリアマネジメントを加速させた。今後、3社は協働分野をハード・ソフト両面で拡大していく方針。
 エリアマネジメントは、建物竣工後も人とまちをつなぎ、まちが常に活性化し続けるための取り組みだ。このため田中氏は、「常に少しずつ新たな取り組みを織り交ぜ、鮮度を保ちたい」と意識している。「点ではなく、コミュニティー同士をつなげていくのが我々の仕事であり、既にある物をつなげていくことで新しい物が生まれる。アークヒルズには、それを許容できる懐の深さがある。それはこの30年間で醸成されてきた」
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