北陸地方整備局北陸技術事務所は、歩道除雪車のガイダンス装置(試作機)を開発した。オペレーターの高齢化と減少が顕在化する中で、情報化施工技術を活用した同装置は“使いやすさ”と“低コスト”を重視。国土交通本省の関心も高く、日本各地で想定される豪雪対応の一助として今後の普及が期待される。写真はガイダンス装置を搭載した歩道除雪車
歩道除雪は車道除雪と異なり、段差や支障物などが多いにもかかわらず、使用車両が小さく、脱輪、傾斜による転倒の危険が伴う。また、ボランティアを始め、経験の浅いオペレーターが従事することも少なくない。
歩道除雪車のガイダンス装置はこれらの課題を踏まえ、2015年度から開発に着手。衛星測位技術を生かし、積雪や吹雪などで見えにくくなる歩道の段差やマンホール、架空線、投雪禁止個所をモニター(画面)と警告音声で案内する仕組みとした。
タッチパネル式のモニター |
あくまで操作性と導入費用に重点を置くことから、衛星測位技術はD-GPS(ディファレンシャル・全地球測位システム)を採用している。RTK-GPS(リアルタイム・キネマティック・全地球測位システム)と比べて機器費などが抑えられる一方、測位精度は低下するが、支障物や投雪禁止個所までの距離を誤差1m程度で捉えるため、十分な性能を確保していると言える。
支障物などの登録については、除雪工区を調査した上での事前入力が必要となる。ただ、従来のような専門業者への依頼は不要で、オペレーター自身が簡単に編集できる。具体的には、タッチパネル式モニターの「ハザード」を選択。続いて、「ハザード(支障物)」と「投雪禁止個所」が表示される。
支障物にはマンホールやグレーチング、段差、架空線、電柱など複数の項目があり、そこから当該物件の位置を決める。位置情報は対象物件までの距離と上下左右の矢印で示される。
同事務所では17年度以降の実用化に向け、17年1月から長岡国道事務所管内で実証試験を始める。
歩道除雪車の情報化施工技術検討業務はアルゴスが担当している。
27日には本省や北海道開発局、東北整備局などの担当者に同装置を披露。車両のタイプを問わず搭載できることから好評で、国交省だけでなく、自治体などへの普及も見込まれる。
歩道除雪車のガイダンス装置は、先に開発したロータリー除雪車のガイダンス装置がベースとなっている。
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