関西の型枠工事業33社の若手経営者が集まる「型成会」(水野弘量会長)が、設立25周年を迎えた。1991年の発足時から枠組みにとらわれない積極的な活動で知られ、現在も他地域の団体と交流するなど会勢は衰えていない。その一方で、会員企業は型枠工の高齢化と担い手不足、低単価などに頭を悩ませている。
「わが社の平均年齢は57歳。仕事が減った時代に多くが職を離れてしまった。息子も経営を継がない」。9月に開かれた同会定例会に出席した会員からは厳しい現状を訴える声が次々と上がった。ある会員は「(ゼネコンに)生産性向上はS造、PC化という見方がある。型枠工事量は減っているが、逆に難しい施工が増えている。㎡いくらではなく、難度に応じた対価が浸透しないと担い手はいなくなる」と指摘する。
また、別の会員からは「仕事量を平準化し、波をなくすことが一番の改善につながる」「多能工の必要が叫ばれているが、見合った賃金や地位が約束されなければ便利屋になるだけ」など、本音の意見が交わされた。
若手の確保・育成も決して容易ではない。努力して高卒の若者を毎年2人、社員として採用しているという社長は「彼らは手取りと将来性を天秤にかけている。そのため資格を取らしているが、技能の習得には時間がかかる。定着率は50%ぐらい」と漏らす。
一方で現状改善に前向きに取り組む様子もうかがえた。ベトナム人実習生を受け入れている会員は「実習生のひたむきな仕事ぶりに影響されて、若手が刺激を受けている」と説明する。「社会保険加入の説明をすると、中途採用者が増えた」との明るい話も出た。
自主的な集まりの型成会は時に、枠組みを越えた積極的なアピールも行ってきた。1996年5月、設立5周年を記念して大阪市内で開いた「KAGENの集い」は、いまでも語り草となっているイベントだ。
KAGENとは下(請け)元(請け)の意味。このとき会員がゼネコンとの単価交渉をリアルに再現した寸劇を上演し、元下関係のあり方に問題提起したことから大きな反響を呼んだ。このほかにも、単なる㎡単価ではなく、施工の難度に応じた歩掛りの勉強と要望も行った。
現在は関西以外の型枠工事業者との連携に力を入れている。13日には神奈川県型枠工事業協同組合青年部と情報や意見交換のための交流会を開く。
型成会は、団体に所属しない型枠青年部会(型青会)として91年に設立、2001年に年齢層を厚くするため現在の名称に変更した。初代会長は深阪好孝氏(深阪工務店)、2代目は森本隆之氏(旧森本工務店、現フォービル)が務め、現会長の水野弘量氏(宇光建設)は3代目。
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