2016/10/18

【作文コンクール】「建設業の未来」を担う高校生の君たちへ<2> コンペで学んだ「つなぐ空間」 柴田 夏葵さん


 私は高校1年生のときに初めて建築コンペに応募しました。このコンペが私の建築に対する考え方を変えるきっかけとなりました。
 中学生の頃に設計の仕事に興味を持ち建築科に入学した私は、自分の力を試してみようとコンペに応募することを決めました。

柴田 夏葵さん(富山県立高岡工芸高校)

 初めてのコンペは、自分の頭の中にある考えをどのように表現すればよいのかがわからず、まとまった提案をすることができませんでした。結果は2次審査落選でした。
 落選したときに、専門知識の浅さや自分の考えを伝える技術が十分でないことを痛感しました。これらのことをふまえて、パースの描き方や着彩の仕方、また外観や内観のデザインなど、どうすれば自分の考えをわかりやすく伝えることができるかという点に着目するようにしました。そして誰かに伝えたいときに平面的な考えではイメージがわかず、伝わりにくいことから、立体的な「空間」を考える必要があると気が付きました。
 高校2年生になって人生二度目のコンペに挑戦しました。前回のコンペから学んだ「空間」を考えること、そして伝え方を工夫することを意識して提案しました。結果は高校生の部で優秀賞を受賞することができました。初めての受賞に舞い上がり、やり遂げたという達成感でいっぱいでした。しかし、表彰式に出席して衝撃を受けました。表彰式では大学生や専門学校生の方の作品が展示されており、プレゼンテーションも行われました。住宅メーカーの社員の皆さんや、建築家の方を目の前にしてのプレゼンテーションはとても緊張感がありました。審査員の方からの厳しい質問に答えておられる姿を見て、自分だったらスラスラと答える余裕はないだろうと思いました。提案する上で、考えが自分で理解できていることが当たり前とされるのに対し、私は考えが頭の中でうまく整理されておらず、自分の詰めの甘さや未熟さを思い知ることとなりました。
 今までの私は「建築とは人々に場所を提供するもの」だと考えていましたが、コンペを通して「建築とは人と環境、人とモノ、人と人をつなぐ空間を提供するもの」だと考えるようになりました。
 私は今、高校3年生で将来を左右する大切な分岐点に立っています。建築のことをもっとよく学びたいという思いから、進学を考えています。一言で建築といっても様々な分野があり、将来どのような職業に就きたいかはまだ決めかねています。どのような仕事に就くとしても、建築は空間をつくりだすものであるという考えを持ち続けたいと思います。
 コンペを通して私は、空間をつくり出すということは創造力だけではなくイメージする想像力も必要であると考えました。技術のみならず感性を磨き、将来の仕事につなげていきたいと思います。
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