2015/12/03

【豪・ロックフォース社】テロや誘拐のリスクから企業守るサービス、日本進出


 豪州のセキュリティー会社、ロックフォース社が日本の建設会社向けにサービス提供を始めた。同社は、テロや無差別襲撃、誘拐など海外特有のリスクについて、進出前に現地を調査して、その企業にリスクから社員を守るためのコンサルティングを行う。また現地に赴く社員に対しての自己防衛術も実技訓練する。写真は創業者のトロイ・ロッキャー氏。

 日系建設会社が中東やアフリカなどに進出する時、現地のリスクへの対応に悩む企業も多い。日本のエンジニアリング会社が、イスラム系の武装集団に襲撃された事件も記憶に新しい。
 ロックフォース社は、豪州軍特殊部隊に19年在籍したトロイ・ロッキャー氏が2006年に創業した。トロイ氏は「当社は危険地域だけでなく、世界中どこでも通用する知識を提供する。海外進出する建設業では、会社経営者も送り出す社員の安全に責任を持つべきだ」と説く。
 同社のコンサルティングは、無差別襲撃や政治的混乱、誘拐、ホテル火災などの本格的なリスク対応に加え、救急車が来られないような地域で行う緊急医療、事案発生後のメディア対応までフォローする。
 コンサルを依頼すると、まず同社が現地に入り、現場やオフィス周辺の危険地域や医療施設を調べる。また安全なホテルや運転手、警備会社の手配も行う。

フィリピンで行う人質訓練

 派遣する社員には、フィリピンにある同社のトレーニングセンターで、ストレスマネジメントやピストル、火器の安全な取り扱い方、テロや爆発物の知識、ドライビングテクニックなどを教育する。
 「例えば誘拐された場合、誘拐犯は人質がしている結婚指輪、ネット上のソーシャルサービスから人質の家族構成を探る。誘拐犯の質問にどのように応えるべきかまでトレーニングする」(トロイ氏)という。
 日本での代理店は、安全サポート(本社・東京都港区、有坂錬成社長)で、同社が日本語対応などを担当する。
 トロイ氏は「危険地域だけでなく、フランスやベルギーといった先進国でもリスク対応は考えるべきだ。2019年のラグビーワールドカップや、20年東京五輪には多くの外国人が入国するので、日本国内でも企業のセキュリティーポリシーを整備しておくべき」と警鐘を鳴らす。
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