奈良時代前半に建設された奈良市の薬師寺で、973年に焼失した食堂(じきどう)が再建される。監修を奈良文化財研究所元所長の鈴木嘉吉氏、施工を竹中工務店、外観設計を文化財保存計画協会、内観設計を伊東豊雄建築設計事務所が担当する。画像は内観イメージ。
外観は建設当時のものを忠実に再現する一方で、内観は伊東氏の設計に一任された。記者会見で伊東氏は「歴史的建築物の修復は初めての経験だが、空間のイメージなど、これまでの建築設計との共通点も多い。淡く広がる空間を感じてもらいたい」と意気込みを語った。
内部は鉄骨を木材でカバーした柱・梁を使用することで強度を高めて柱の本数を削減し、スパンを拡げることで説教や芸能など多様な用途に使用できる空間を約400席確保する。
中央にある6m四方の阿弥陀浄土図から広がるように金色に塗装したアルミパネルを積層して配置する。高い金属加工技術を有する菊川工業がパンチング加工することで、独特の天井デザインと空間の広がりを生み出す。
阿弥陀浄土図を描いた日本美術院代表理事の田渕俊夫氏は、「描きたいと思ったからといって描けるものではなく、強いプレッシャーを感じた」と話す。その一方で、「伊東先生に通常ではあり得ない天井を設計してもらったことで気が楽になった。自分流の仕事で壁画を描くことができた」という。
伊東氏に設計を依頼した薬師寺の山田法胤管長は「空間の魔術師である伊東先生が設計することで、食堂という空間が持つ魅力を生かしてもらえると考えた。古くて新しい空間になることを期待している」と語る。
食堂の規模は延べ649㎡。古代の食堂は僧侶の斎食や仏教儀礼、年中行事が行われる儀礼空間として使われた。再建後は薬師寺の新たな拠点として法要・法話などに使用するほか、「阿弥陀如来三尊像」や「仏教文化伝来と薬師寺縁起大壁画」といった薬師寺の歴史と価値を伝える展示も行う方針だ。総事業費は約16億円。2017年5月の完成を目指す。
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外観は建設当時のものを忠実に再現する一方で、内観は伊東氏の設計に一任された。記者会見で伊東氏は「歴史的建築物の修復は初めての経験だが、空間のイメージなど、これまでの建築設計との共通点も多い。淡く広がる空間を感じてもらいたい」と意気込みを語った。
内部は鉄骨を木材でカバーした柱・梁を使用することで強度を高めて柱の本数を削減し、スパンを拡げることで説教や芸能など多様な用途に使用できる空間を約400席確保する。
中央にある6m四方の阿弥陀浄土図から広がるように金色に塗装したアルミパネルを積層して配置する。高い金属加工技術を有する菊川工業がパンチング加工することで、独特の天井デザインと空間の広がりを生み出す。
阿弥陀浄土図を描いた日本美術院代表理事の田渕俊夫氏は、「描きたいと思ったからといって描けるものではなく、強いプレッシャーを感じた」と話す。その一方で、「伊東先生に通常ではあり得ない天井を設計してもらったことで気が楽になった。自分流の仕事で壁画を描くことができた」という。
記者会見する伊東豊雄氏 |
食堂の規模は延べ649㎡。古代の食堂は僧侶の斎食や仏教儀礼、年中行事が行われる儀礼空間として使われた。再建後は薬師寺の新たな拠点として法要・法話などに使用するほか、「阿弥陀如来三尊像」や「仏教文化伝来と薬師寺縁起大壁画」といった薬師寺の歴史と価値を伝える展示も行う方針だ。総事業費は約16億円。2017年5月の完成を目指す。
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