日本電気硝子(松本元春社長)は5日、第23回空間デザイン・コンペティションの表彰式を東京都千代田区の東京国際フォーラムで開いた。「しなやかで強い社会の建築とガラス」を課題とした、提案部門の最優秀賞には「ガラスの防潮堤」=画像=を提案した原田雄次氏(スミルハン・ラディック アーキテクト)、優秀賞は廣田竜介氏、藤関利光氏(ともに立命館大大学院)、田中健人氏(神戸大大学院)、渡邊匠氏(大阪市立大大学院)による「空気の衣-ガラス繊維を用いた耐震ファサードの提案」が選ばれた。今回は応募登録数が230件、うち139件の作品応募があった。
席上あいさつした松本社長は、今回の審査委員長だった建築家の小嶋一浩氏が作品審査に入る直前に死去したことに触れ、「主催者としても参加者、すべての関係者にとって衝撃だった思う。今回参加された方には小嶋先生が審査するならという人も多かったのではないか」と話した。
その上で「われわれはガラスの持つ無限の可能性を引き出すという企業理念とともに、自然と共生することの価値観を掲げており、今回のコンペに参加し受賞した皆さんの知識や経験は今後ますます重要になる。これからもコミュニケーションを継続していきたい」と受賞者に呼び掛けるとともに、表彰状を授与した。
デザインコンペの入賞者たち |
続いて審査委員を務めた建築家の中山英之東京芸大准教授、永山祐子氏(永山祐子建築設計)らが講評し、「生身の社会に体当たりでぶつかった作品が上位となった」(中山氏)、「多様な作品が多く津波や耐震、木密など世の中のネガティブな要素を建築の持つ可能性で切り開いていこうという思いを強く感じた」(永山氏)などと課題に真摯(しんし)に向き合った参加者の姿勢を評価した。
最優秀賞の原田氏はチリ在住のため欠席したが、「自然の猛威を物質的に防ぎながら、まちと海との新しい関係性が生まれるのではないかと考えた」などとしたコメントが披露された。
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