2016/12/28

【大成建設】現場の“粗清掃”はロボットにおまかせ! 「T-iROBO Cleaner」


 徐々に一般家庭に普及しつつある自動清掃ロボットが、稼働中の現場で活躍する日が近付いている。大成建設は、稼働中現場の“粗清掃”用の自立型清掃ロボット「T-iROBO Cleaner」を開発した。生産に直接寄与しない清掃作業を自動化することで、作業員が実作業に集中できる環境をつくる。既に3現場(建築2件、土木1件)で試行的に稼働させ、評判は上々。2017年1月からは建築現場1件で長期導入を始める。17年度からは、アクティオを通じてリース・販売も始める予定だ。

 実は引き渡し前の仕上げの場面では、ロボットによる清掃が広がっている。ただ、一般家庭用の清掃ロボットは、容量が小さい上、太いケーブルなどの段差を乗り越えられず、クギ・ビスが落ちていたり、スロープや段差が多い稼働中の現場には向かない。さらに、最大の問題は、立ち入り禁止区域や資材置き場を区切っている三角コーンとトラバーの存在だ。一般家庭用清掃ロボットでは、トラバーの下をくぐり抜けてしまい、不要な場所や立ち入り禁止区域にロボットが侵入しかねない。
 そこで大成建設技術センター建築技術開発部建築生産技術開発室が目を付けたのは、建築現場向けに市販されているバッテリーを搭載した「スイーパー」だ。加藤崇工法システムチーム課長は、「どの機械をベースにするか悩んだ」と話す。自走させるために動力は必要だが、吸引型では駆動時間が短い。そこで着目したのが、蔵王産業製のスイーパーだ。下部の回転ブラシが地面のゴミを掃き込む機械で、ブラシを回転させるためにバッテリーとモーターを搭載しているが、吸引しないため稼働時間が最大3時間と長い。この動力を自走用動力に活用することにした。
 次は、三角コーンとトラバーの存在だ。壁であれば赤外線や超音波センサーで検知できるが、空間に存在するトラバーの検知は難しい。ロボットが立ち入らないよう現場側の準備作業が必要になれば、作業時間の軽減につながらない。そこで西部電機の協力を得て、「レーザーレンジファインダー」を開発。上下左右にファインダーを動かし、周囲270度にレーザーを照射し、高さ方面の空間上の物体の存在も把握できる。高さ70-80cmの空間に物体を検知すれば、その先には進まない。下向きにもセンサーを配置し、段差や水たまりも自動で回避する。一般家庭用と同じようにランダムに対象地を動き回る。図面を入力して決まった動きで漏れなく清掃する方法もあるが、入力作業に手間がかかるため、粗清掃用と割り切った。吸引しないため、床上に貼ったシートやテープを吸い込んで止まる心配もない。
 スタートボタンを押せば自動で動き回り、バッテリーがなくなれば止まる。移動用にマニュアル操作もできる。トラックにスロープ板を渡し、マニュアルで前進させれば自分で乗り込んでいくため、搬送に多大な労力がかからない。
 ベース機械のバッテリーを2つに増やし、稼働時間は9時間にまで延びた。総重量は76㎏(ゴミ積載状態で100㎏)だが、厚さ20mm程度の段差や8%の勾配も上るパワーも備える。
 100㎡当たりを掃除機で清掃すると1作業員の拘束時間は40分。「T-iROBO Cleaner」では、100㎡当たりの1作業員の拘束時間が、たまったゴミを捨てるなどの時間を入れても5分程度で済む。「現場が稼働していない時間に動かしておいたり、未作業区域を区切って集中的に作業させたりもでき、現場の一斉清掃などがなくなり、作業員の労働時間抑制につながる」(上野純建築技術開発部長兼建築生産技術開発室長)。清掃作業における省人化10%以上を目指す。
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