◆足立議員当選 公共投資確保訴え国政での活躍期待
自民党職域代表の足立敏之氏が7月の参議院選挙で上位当選した。足立議員は、一貫してインフラ整備の重要性とそれを支える公共投資の確保を訴えてきた。今後、国政を舞台に活躍が期待される。
また、自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(品確議連)が11月下旬、7年ぶりに総会を開き、根本匠衆院議員が会長に就いた。公共工事品質確保促進法に基づく、発注関係事務の共通ルール「運用指針」の取り組み状況確認や生産性向上策のi-Construction(アイ・コンストラクション)といった課題に今後対応することになる。
◆公共工事 前倒し発注 前払金5.2兆円、上期過去15年最高
年度末に公共工事の工期が集中することを避け、工事の平準化を図るため、4月の閣議で2016年度予算の大幅な前倒し執行が決まった。東日本建設業保証の上期前払金保証統計から見た公共工事の請負金額では、前年同期比4.0%増の5兆2664億円で、上期としては過去15年間で最高額となり、01年度上期とほぼ同水準だった。ただ、国や都道府県は増加したものの市区町村は減少し、地方建設業界では「今後の投資原資が前倒し発注で足りなくなっている」ことを懸念する声もあり、下期も継続・安定的な発注を要望している。
◆北海道新幹線開業 列島結び鹿児島まで 札幌延伸へ発注進む
3月26日に北海道新幹線新青森~新函館北斗(約149㎞)が開業、北海道から九州・鹿児島まで日本列島の南北2150㎞が新幹線で結ばれた。新函館北斗~札幌間約211㎞も国内最長の陸上トンネルとなる渡島トンネル(32.765㎞)を始めトンネル工事の発注が進み、2030年度開業に向け工事が本格化。北陸新幹線(金沢~敦賀)、九州新幹線(武雄温泉~長崎)の工事発注も進む。「未来への投資」をキーワードとした政府の経済対策もあってさらなる整備促進に期待がかかる。また四国新幹線整備が検討課題として四国圏広域地方計画に初めて盛り込まれた。
◆職人安全法成立 建設工事従事者の安全と健康を確保
公共、民間問わずすべての建設工事に従事する人たちの安全と健康を確保するため、安全衛生経費の確保や一人親方問題への対処を国、自治体、企業に求める「建設工事従事者の安全及び健康の確保の促進に関する法律(職人安全法)」が12月9日、衆議院本会議で可決、成立した。施行に伴い元請けや専門工事業者など企業に対しても、工事従事者(職人)の安全・健康への新たな対応を求める。
◆リニア新幹線3大工事着工 2027年開業へ周辺開発にも期待
東海旅客鉄道が、2027年開業を目指すリニア中央新幹線(品川~名古屋間)。特に高度な施工技術と長い工期が必要とされていた南アルプストンネル、品川、名古屋の両ターミナルの3大工事が着工した。安全祈願・起工式は、昨年末の山梨を皮切りに、ことしに入り東京、長野、岐阜、愛知と沿線都県内で相次ぎ、周辺開発をにらみ整備促進を求めてきた関係自治体の首長から大きな期待が寄せられた。また、政府の「未来への投資を実現する経済対策」で、リニア中央新幹線の大阪延伸を最大8年前倒しすることも決まった。
◆外環シールド機完成 本線2本を地下結合、国内最大の機体採用
完成したシールド機 |
東京都練馬区の関越道大泉ジャンクション(JCT)から中央自動車道を経て、東名高速道路の東名JCTを結ぶ約16.2㎞の東京外かく環状道路(外環道、関越~東名間)は、北行、南行の本線トンネル2本をシールド機計4機で掘り進め、地下で接合させる国内最大のシールドトンネル工法を採用する。
9月には本線トンネル(南行)大泉南工事に使われるシールド機(直径16.1m、機長約15m、重量約4000t)の工場試験、11月には本線トンネル(北行)大泉南工事に投入されるシールド機(機長約15.2m、重量約4000t)の仮組み立て試験が公開された。
◆堅調な海外受注 5年連続1兆円超、安定的収益基盤に
事業体制の充実や徹底した現地化の推進、長年にわたる現地建設企業との緊密な連携で培った評価と信頼を背景に、国内ゼネコンの海外受注が堅調に推移している。
海外建設協会(白石達会長)が、会員企業を対象に実施した調査によると、海外での建設工事受注額は5年連続で1兆円を超え、2016年度上期(4-9月累計)の実績(速報値)も、総額が前年同期比16.8%増の8199億2800万円で、06年度に次ぐ高水準を記録。現地法人の受注が全体の8割近くを占め、現地化による安定的な収益基盤の整備が進みつつある。
◆ゼネコン採算 第2四半期決算で相次ぎ最高益確保
ゼネコンの採算改善が鮮明に出た。大手・準大手クラスの2017年3月期第2四半期では、採算性を示す完成工事総利益率が軒並み10%を超え、最高益を確保する社が相次いだ。労務のひっ迫によるコスト増が期初想定より下回ったことが背景にあり、変更工事に伴う追加利益が後押しになった社もあった。手持ち工事が着実に積み上がる中、利益重視の受注を強めてきたことも採算改善につながった。通期も同様に10%超えが相次ぐ見通しだが、来期以降は懸念されている労務環境に慌ただしさが出てくる可能性が高く、採算悪化に傾く可能性もある。
◆社会保険未加入 4月から現場排除、切迫感一気に増す
2017年4月から始まる社会保険未加入者の現場排除措置を目前にして専門工事業界に焦燥感が広がっている。標準見積書の作成・提出の徹底、2次下請けの法人化や正社員化など100%加入を目指して業界をけん引してきた東京都鉄筋業協同組合でも、大型建築案件の構造変更などによる稼働率の低下に伴い、固定費の支払いをためらう2次下請けが加入の動きを鈍らせかねない状況に強い懸念の声が相次いだ。都市部での加入率が半数以下にとどまる日本型枠工事業協会ではさらに危機感が強まっており、17年4月に向けて一気に切迫感が増すとみられる。
◆「キャリア」構築 振興基金が運営主体、年明けから開発始動
建設技能者一人ひとりの資格や就労実績などを業界統一ルールの下で蓄積し、そのデータをもとに処遇改善を図る「建設キャリアアップシステム」の構築作業が進んだ。21日には官民コンソーシアムの会合が開かれ、運営主体が建設業振興基金に決まった。システム本体のスペックを示す要件定義書と実際に業務を発注する際の調達仕様書も決定。年明けからシステム開発が本格的に始まる。レベルに応じて色分けしたカードを技能者に配布する。カード発行手数料は約3000円、有効期間は10年とする。先行登録できる基幹技能者向けの特別講習も今後各地で開かれる。
◆手帳のIT化 退職金算定を電子化、実績はポイント数に
勤労者退職金共済機構・建設業退職金共済事業本部が設置した「建退共制度に関する検討会」は、現場の技能労働者が受け取る退職金の算定を証紙貼付方式から銀行口座振込・振替方式への変更を求める報告書をまとめた。同方式は手続きを電子化し、元請けが開設した引き落とし口座から建退共口座に掛け金を入金する仕組みで、就労実績は現場で個人別集計し建退共に報告する。労働者の実績は手帳の証紙枚数ではなくポイント数で通知する。
ただ報告書では現行の証紙貼付方式も認めており、2方式が併存するため業務の煩雑化が懸念されている。
◆処遇改善進む 週休2日モデル拡大、「新3K」実現に期待
発注者の責務である「適切な工期の設定」が建設現場を支える技術者や技能労働者の働き方を大きく変えようとしている。焦点は国土交通省が2014年度から試行している「週休2日モデル工事」の拡大だ。
建設産業の将来を担う若手人材の確保・育成へ、休日の取得を含めた就労環境の改善が課題となる中、既にモデル事業の実施に取り組む東京都など地方自治体にもその取り組みへの意識が浸透。働き方そのものを変える「新3K(給与・休暇・希望)」の実現に向けて、民間工事を含めたさらなる取り組みの推進にも期待がかかる。
◆インフラメンテ 「国民会議」が発足、革新的技術を創出
社会全体でインフラメンテナンスに取り組む機運を高めることなどを目的に、産学官民が一体となったプラットフォーム「インフラメンテナンス国民会議」が11月に発足した。約200もの企業、団体、行政機関が設立メンバーとして参加し、それぞれが所有する技術や知恵を総動員して、適切な維持管理を促進する。
設立メンバーは建設業、建設コンサルタント・測量、ICT(情報通信技術)や点検・センサーなど各企業のほか、団体、行政機関で構成。革新的技術を生み出す異業種間の連携(オープンイノベーション)や技術者の育成などに取り組む。
◆女性活躍推進 総合評価に加点、地方でも広がる
少子高齢化に伴う労働力人口の減少を背景に、結婚や出産などで退職を余儀なくされる女性が働き続けられる職場環境の整備が求められている。その環境整備を企業に促す「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が4月1日に全面施行された。
同法などに基づく認定企業を総合評価落札方式などで女性活躍に積極的な企業として加点評価する取り組みが広がり始めている。一般事業主行動計画の策定や女性技術職員数、女性技術者の配置などが加点対象で、この動きは今後も拡大していく可能性が高い。
◆会計基準変更 日本向けIFRS、4月から適用可能
海外展開するメーカーなどを中心に採用が進む国際会計基準(IFRS)について、一部を日本向けに変えた日本版IFRS(修正国際基準)が4月から適用可能になった。企業の合併や買収で発生する「のれん代」の償却や、その他の包括利益(株式売却損益)を当期純利益に組み替え調整を認めたのが特徴だ。
建設業界では、新たな包括利益とこれまでの収益認識時期に差が出たり、工事完成基準が廃止されることになれば、事務・コスト負担が増える。こうしたことから日本建設業連合会は、工事完成基準の継続適用など、配慮を求めている。
◆中間貯蔵に着工 福島県2町に整備、2千万m330年保管
中間貯蔵施設の大熊工区 |
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で発生した汚染土壌などを長期に保管する中間貯蔵施設が11月に着工した。福島県双葉、大熊両町にまたがる約1600haに整備、最大で2200万m3の除去土壌や除染廃棄物を最長30年間保管するもので、初弾施設を両町それぞれ7haに整備する。
17年度も両町で新規施設の着工が予定されており、16年度内の工事発注公告が見込まれる。
中間貯蔵施設自体は特殊な工法などが必要ないため、ゼネコン各社は初弾の仕様をベースに、技術をパッケージ化したトータルプランで受注獲得へ動くとみられる。
◆新社長が誕生 企業トップの経営手腕期待
ことしも多くの新社長が誕生した。
1月にはLIXILの瀬戸欣哉氏、麻生セメントの麻生巖氏が就いた。
3月にはヒューリックの吉留学氏、日建設計シビルの田村彰教氏が就任した。
新年度を迎えた4月は、清水建設の井上和幸氏、前田建設の前田操治氏、IHIの満岡次郎氏、鹿島道路の増永修平氏、旭化成建材の堺正光氏、文化シヤッターの潮崎敏彦氏、住友建機の下村真司氏、東急コミュニティーの雜賀克英氏、栗田工業の門田道也氏、西武建設の中村仁氏、JAG国際エナジーの増田雄輔氏、フジタ道路の杉本卓嗣氏、日立建設設計の橘滋夫氏、日立住友重機械建機クレーンの横山昇吾氏、明翫組の明翫圭祐氏、長谷工リフォームの河合英樹氏、宇部三菱セメントの上田淳氏、日立プラントサービスの中津英司氏、三菱電機ビルテクノサービスの吉川正巳氏、ダイヤコンサルタントの野口泰彦氏、岩崎電気の伊藤義剛氏、日立ビルシステムの佐藤寛氏、元旦ビューティ工業の舩木亮亮氏、日建工学の皆川曜児氏、コベルコ建機の楢木一秀氏、オートデスクのマイケル・キング氏、シミズ・ビルライフケアの野上勇氏、ダイビルの玉井克実氏が新社長に。
5月には東亜道路工業の新谷章氏、アーキヤマデの山出敬太郎氏が就いた。
株主総会が集中する6月は、東亜建設工業の秋山優樹氏、福井コンピュータの田辺竜太氏、五栄土木の蒔田高之氏、ヤマトの町田豊氏、LIXIL鈴木シャッターの山田智氏、日本住宅保証検査機構の平井雅彦氏、日設の山本晃氏、NTTファシリティーズの一法師淳氏、小泉の長坂剛氏、あおみ建設の河邊知之氏、北弘電社の脇田智明氏、パスコの古川顕一氏、日本コムシスの加賀谷卓氏、住友電設の坂崎全男氏。
森トラストの伊達美和子氏、ジェコスの馬越学氏、常磐開発の高木純一氏、横浜高速鉄道の鈴木伸哉氏、スパンクリートコーポレーションの浮田聡氏、東鉄工業の柳下尚道氏、ジェイアール東日本建築設計事務所の有山伸司氏、名工建設の渡邉清氏、大成ロテックの西田義則氏、川重冷熱工業の能美伸一郎氏、関電工の森戸義美氏、日比谷総合設備の西村善治氏、東京エネシスの熊谷努氏、朝日航洋の尾暮敏範氏。
錢高組の錢高久善氏、伊藤忠都市開発の木造信之氏、日鉄住金建材の中川智章氏、川崎設備工業の廣江勝志氏、メタウォーターの中村靖氏、日本空港ビルデングの横田信秋氏、丸紅建材リースの内山元雄氏、首都高速道路会社の宮田年耕氏、阪神高速道路会社の幸和範氏、四国旅客鉄道の半井真司氏、新関西国際空港会社の春田謙氏、総合設備計画の中島一則氏と数多くのトップが誕生した。
7月には寄神建設の寄神正文氏、8月にはNB建設の仙頭靖夫氏、馬淵建設の馬淵圭雄氏が就いた。
9月には三井共同建設コンサルタントの中野宇助氏、大日本コンサルタントの新井伸博氏、八千代エンジニヤリングの出水重光氏、第一復建の田中清氏が就任。
10月にはベントレー・システムズ日本法人のクリストファー・リュウ氏、ジョンソンコントロールズの吉田浩氏、JIMテクノロジーの三木孝信氏が就いた。
11月にはカナモトの金本哲男氏、東邦レオの吉川稔氏、12月にはセントラルコンサルタントの木原一行氏が新社長に就任した。
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