建築をつくる上で欠かせないのが図面だ。3次元の空間を形づくるために必要な情報を伝達し共有するものであり、そこには建築家/設計者の知恵や思想が詰まっている。
本書は、その図面に着目し、Q&A形式で読み解いていくユニークな解説書である。まず図面表記の基本的なルールを実例に則して説明するという周到ぶりで、予備知識がなくてもゲーム感覚で図面から空間に込めた意図を推理し、解読を試みることができる。
「なぜ壁の厚さが違うのか」「何のためのスペース?」「なぜ屋根が垂れ下がっているのか」。薬師寺東塔やシャルトル大聖堂などの歴史的建築から、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトといった近代建築の巨匠、フランク・ゲーリーやレム・コールハース、SANNAらの現代建築まで、古今東西の名作66点をセレクト。
住宅、平面図・配置図、断面図、構造・環境、増改築、特徴のある図面表現、空間の概念という7つのセクションに分けて出題し、いったん自分の頭で考えてからその解答と解説を読むことで名建築の名建築たるゆえんがより理解しやすいものとしている。
見方を変えれば建築の図面が伝えるべき情報とは何か、を指し示すものとも言える。
(丸善出版、1800円+税)
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