■男性の育児参加が必要 休日の取りやすさや業務負担の分散が不可欠
日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、田中宏幸議長)が9日、東京都荒川区のホテルラングウッドで開いた女性技術者会議では、男女の技術者が作業所の労働環境改善について討論した。男性の育児への協力が不可欠との認識に対して男性も同意しつつ、制度や雰囲気によって定時退社などが難しいとの課題が浮き彫りになった。
今回の会議では、「誰にとっても働きやすい建設産業を実現するために-『男性の意見も聞いてみたい!』」をテーマに男女の技術者28人(女性16人、男性12人)がグループ討論した=写真。
休日取得について、「定時で帰る上司が格好良い」といった上司による休みやすい雰囲気づくりの重要性を指摘する声が上がったほか、多様な働き方については、女性が「普通に働くためには男性も育児に参加することが大事だ」としたのに対し、男性からは「育児のための休日を取得しにくい」「(休める)制度がないと育休を取りにくい。会社や社会全体で育休を取りやすいようになってほしい」といった制度整備の必要性を求める声が上がった。
残業の抑制では、「i-Padなどを積極的に採用して書類整理などの生産性を上げる必要がある」と男女ともに指摘したほか、「書類整理などについて支店にバックアップをお願いするなど、業務負担の分散が必要」との意見も共通して挙がった。
「女性技術者を増やすために必要なこと」を議論したグループでは、男性が「女性技術者のロールモデルを増やす」との意見が多かったものの、女性からは「会社に女性技術者がいないこともあり、ロールモデルはそれほど重要ではない」といった意見もあり、「女性技術者同士の縦と横のつながり」などを重視する傾向が強かった。女性用トイレについては「トイレの環境が整ったから入職する人はいない。ただ、離職者は減る」といった指摘があった。
また、建設業のイメージについても「実際に働いている女性としては、それほどイメージは悪くない」「建設業で女性が働いていることを知らない人が多いので、具体的に働くイメージを対外的にアピールしてほしい」とPRの重要性を強調する意見が多かった。
■「ワールドカフェ」に11社24人が参加 会社の垣根越えて情報交換
日本建設業連合会(中村満義会長)は12日、建設業での女性活躍をより推進するため、会員会社の垣根を越えて各種制度の取り組み状況などについて情報交換する「ワールドカフェ」を東京都中央区の清水建設本社で開いた。11社から計24人の女性社員が参加し、日建連がホームページで公表している各社の制度事例を参考に意見交換した=写真。
冒頭、日建連けんせつ小町委員会技術者活躍推進専門部会委員でワールドカフェワーキングのリーダーを務める佐野祐子さん(清水建設コーポレート企画室経営企画部課長)は、概要を説明するとともに、「気兼ねなく現状の課題や要望を 出してもらい、日建連の今後の活動の参考にしていきたい」とあいさつした。
ワールドカフェは、カフェのような空間で移動しながら付箋を使って自由に意見交換する「決めない」会議方式。4人1組の6グループに分かれ、メンバー交代しながら20分間の会話を2ラウンド行い、テーブル上の紙に意見や要望を張り出していった。
ラウンド終了後は元のテーブルに戻り、これまでの会話を振り返る。佐野さんは、「女子会のように気楽に話すことで本音を引き出すことができる。今回で2回目の開催だが、来年以降も継続していきたい」と述べた。
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