2016/12/07

【隈研吾】生物に重要なのは「粒状感」 日本建築文化保存協会で創作の原点語る


 日本建築文化保存協会による連続講演会「建築家が創造する建築文化の未来-建築模型、その価値と可能性」の第4回講演会が11月30日、東京都品川区の寺田倉庫本社ビルで開かれ、建築家で東大教授の隈研吾氏が自らの創作活動の原点や設計に対するスタンスなどを語った。

 三宅理一藤女子大教授をナビゲーターとした対話形式でのトークセッションで隈氏は、自らのデザインで重要視することの1つとして「粒感」を挙げた。「粒っぽさを感じられることが生物にとっての気持ち良さにつながる」とし、「逆に粒感をなくすとストラクチャーが際立って不快な建築になる」と語った。
 その上で『馬頭町広重美術館』などを例に、どのくらいの寸法、ピッチで配置していくと「粒っぽさ」が感じられるか、その間隔や大きさの設定が大事であると指摘。「それは中華料理を考えると分かりやすい。例えば青椒肉絲(チンジャオロースー)はピーマンや牛肉など具材をすべて同じ大きさにそろえて千切りしているからこそおいしい。中華料理の神髄は粒感にある。それは建築と同じだ」と強調した。
 こうした粒感の設定では、「現場に行って歩き回ってみること。自分の身体でつかまないと分からない」とし、「歩いて得られる情報はすごく重要。日ごろから歩く行為が生活の中心になるようにしている」とも語った。
 また「日本的なデザイン」を問われ、「ある固定されたものとは考えていない。相対的にとらえ、フラットな中でこの場所でつくるならどうするかを考える。それは海外でも同じ」であり、文化や社会制度の差異も背景としたその地域・国それぞれの制約やリスクも「逆に面白さに変えていけるようにすると、そこの場の味になっていく」とした。
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