2016/12/12

【YKKAP】エントランス空間の窓枠を木質化! 国産木材活用で地域林業活性化にも


 ビルや公共商業施設のエントランス空間向けに国産木材の窓フレームが登場した。YKKAPがことし11月に発表した「システマ31e 木化粧仕様」は木製の化粧材をアルミ枠の上にアタッチメントで取り付け、室内を木質化する。スリムな枠で、ガラス面が際立つ透明感と開放感を演出できる。画像は「システマ31e」の内観イメージ

 開発のきっかけは、2010年に国が施行した「公共建築物における木材利用促進に関する法律」だった。エントランスホールなどの人目に触れやすい部分で、天井や床、壁、窓枠などの木質化を推進することになり、設計事務所からも「窓枠を木質化したい」という要望が寄せられた。開発するなら、デザイン性が重視される建物のエントランスが最適だ。14年に木化粧仕様を含む新しいシステマの開発が始まった。
 しかし、ファスナーの金型技術をもとにサッシ事業を拡大してきた同社にとって、木材は扱い慣れない素材だった。特に苦労したのが結露を防ぐこと。アルミのアタッチメントと木の接触部分に水分がたまると木材が水を吸って変形してしまう。そこで製品の設計の際にアタッチメントと木材の接触をなるべく減らし、結露の水分が木の部分に伝わらない形を追求した。さらに木材をノコギリで切断すると刃の分だけ差が出てガタつきの元になるため、パッキンを用意して施工者が仕上げ段階で調整可能にするなど工夫も凝らした。

「システマ31e」 木化粧仕様

 木化粧の木材は現地で調達し、製材所や施工店が地元産の木材を使って木化粧を製作する。「地域の林業を活性化したい地方自治体の思いをくみとる仕組み」と、宇田川敏規開発本部商品企画部ビル商品企画グループエントランス・ドア商品企画室長は説明する。木の部位も、柱に使えるような樹木下部の太い部分ではなく、中高部の集成材を使い、地球環境の保全に配慮した。
木材を扱うにあたり、住宅リフォーム分野の開拓に向けて提携関係を結ぶ大建工業や、長野県で木造駅舎の建設に携わった建設会社から木材に関する知見の提供を受けた。木材は柔らかいため、細い断面にねじを打つと欠けてしまう。アタッチメントを固定する切り欠き部分の幅を3.5mmに定め、施工者が簡単に製作・取り付けできる形状を模索した。
 東京都の森林面積は都全域のおよそ4割を占めており、多摩地域は木材の有力な供給地だ。20年東京五輪に向けて首都圏の建設需要が高まるにつれ、公共施設や再開発ビルなどで木質化の需要も高まる。同社はプロ向けプレゼンテーションスペース「AZ five TOKYO」(東京都文京区)に、多摩地域のスギ材を使った実物を展示中で、この地域産ならではの木目のコントラストや独自の味わいを確かめることができる。
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