2016/12/15

【働きかた】周囲を巻き込み育児中のフルタイム勤務環境をつくる 大成建設四国支店・角崎由貴子さん


 入社9年目。四国の土木現場を渡り歩いてきた。入社4年目で結婚・出産して1年間育休を取得した。いまも両親と暮らしながら、地元・香川県の工場土木の現場で働いている。

 復帰1年目は、時短制度を活用して午前9時から午後4時まで勤務した。「午前7時半に保育所の門が開くと同時に娘を預けて急いで出勤。遅くても午後4時半には現場を出て6時までに保育所に迎えに行く」という生活だった。
 復帰直後は早い時間に帰ることに心の葛藤があった。だが、「自分が全部を回そうと思わなくていい」と思えるようになって切り替えられた。現在はフルタイムで働いているが、「朝1時間早く出勤し、夕方の残業はしない」と決めている。出勤時の車の中で仕事モードに切り替え、頭の中を整理し、できるだけ効率よく仕事がこなせるよう心掛けている。
 続けられるポイントは「周囲を巻き込むこと」。午後5時に帰ることを上司・同僚や現場の職人にまで伝えれば、「みんなが合わせるようにしてくれる」という。いまでは、むしろ周囲から「早く帰れよ、と声を掛けてもらえる」という環境ができている。建設業に理解のある両親に大いに助けられているが、「できれば完全週休2日制が早く導入されれば助かる」という気持ちもある。
 自身は、祖父、両親が行政や企業で建設業に携わってきた“建設家系”の中で育ち、就職活動も同社1本に絞って「抵抗なく建設業に入ってきた」。それでも、妊娠した際に辞めようと思ったことがある。しかし、「せっかく自分が志願して入った会社だし、もったいない」と思って続けることにした。何よりも「自分にはこれしかない」というほど建設の仕事が好き。
 娘が両親とともに現場に“表敬訪問”に来たこともある。娘には「自分でやりたいことを見つけてもらえれば」と語るが、将来、現場で母と娘の“親子鷹”が見られる日が来るかもしれない。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【働きかた】制度拡充は「手段」、指導的立場の女性を育てる 大成建設・塩入徹弥さん 優秀な女性社員の潜在能力を生かした職域の拡大や、グローバルな大規模プロジェクトをけん引する外国人材育成の取り組みなどが高く評価され、経済産業省が実施している「ダイバーシティ経営企業100選」の2014年度受賞企業に選ばれた。  大成建設管理本部人事部の塩入徹弥人材いきいき推進室長は受賞を機に「1つは女性管理職数の目標を確実に実現できるようにしていきたい」とさらなる女性の活躍支援に全社を挙げて取り組む考えを示す。  同社は女性管理職数を20… Read More
  • 【働きかた】三井住友建設職長会、初の女性会長誕生! 職長歴20年の佐藤靖子さん 三井住友建設の職長会で初となる女性の会長が誕生した。同社横浜支店が施工する『(仮称)北山田5丁目計画 ライオンズマンション港北ニュータウンローレルコート新築工事』で前任者から大役を受け継ぎ、3月から現場を取り仕切っている。旧知の仲間と連携を深めながら、安全の取り組みを徹底し、「エンドユーザーが満足する建物を引き渡したい」と意欲を燃やしている。  職人の手伝いがきっかけとなって塗装業の世界に。友人の父親が塗装業を営んでいたこともあり、違和感… Read More
  • 【働きかた】建築仕上学会に女性ネットワーク フジタ建設・熊野康子さん フジタに入社し出産、子育てを経験。3月末には娘の結婚式に出席した。そんな自らの経験を伝え、女性同士のつながりを生み出すことを目的に日本建築仕上学会の女性ネットワーク委員会で主査を務める。  建設業界全体で女性活動への関心が高まる中で、参加者はゼネコンやメーカーなど幅広い分野から集まる。「社内の女性とどう接すれば良いのかを悩んでいる男性の参加者も増えている」とみる。交流の場を生み出すことで、「女性同士のつながりを生みだし、仲間が欲しい人、学… Read More
  • 【働きかた】10年目には母国にランドマークを 三菱地所設計・兪一非さん 中国の大学で建築設備について学んだ後、「もっと広い世界を見たい」という思いから大阪大学大学院に入学した。建築設備を専門分野に選んだ理由について、「建物の長寿命化を進める上で重要性が高く、先進的な技術が次々と生まれてやりがいがある」と語る。  現在は空調衛生設備を中心に設計から現場監理までを担当している。入社当初は現場で交わされる専門用語にも悩まされたが、「苦労を苦労として考えるのではなく、わたしにしか体験できないチャンスとしてとらえれば、… Read More
  • 【働きかた】鹿島初の女性所長誕生! 東京外環地中拡幅準備事務所・須田久美子さん 1月に、鹿島で初めての女性所長が誕生した。東京外環の地中拡幅技術の精査や、その後の工事受注に直結する事務所での重責を担う。首都圏中央連絡自動車道路(圏央道)、中央環状品川線と、首都圏の重要交通網に関する現場で副所長を経験、今回、ついに所長に就いた。須田さんは、1982年に土木の総合職として鹿島に入社。技術研究所と設計部門を経験しながらも「現場に出たい」という思いを持ち続けて25年、ようやく2007年に東京・高尾山麓で行われていた圏央道裏高尾… Read More

0 コメント :

コメントを投稿