安藤忠雄氏の代表作の1つである複合リゾート施設「淡路夢舞台」(兵庫県淡路市)の建設にかかわったゼネコンや設備業、造園業、各種メーカー関係者らが年に一度集まる建築技術研修会(安藤忠雄建築研究所主催)が13、14日の2日間にわたって同地で開かれた。
研修会として第15回、同窓会として第16回となる今回は「建設産業界の今後」をテーマにプレセミナーやレクチャーなどを開催し、参加した約320人は旧交を温めた。
13日のレクチャーで安藤氏は、夢舞台の建設に至った経緯や完成までの道程を説明し、「これだけ多くの人たちがかかわっている。昨今の建築産業はどんどんつくって売れば良いという潮流だが、長く使えるよう大切にしていかなければならない」と、研修会の意義を唱えた=写真。
続いて、阪神・淡路大震災の被災地での植樹活動や「真駒内滝野霊園新大仏殿」など最新プロジェクトも紹介し、「面白いものをつくれば人は寄ってくる。人が注目すると会社の価値が上がり、土地の価値も上がる。同じようなビルばかりではなく、想像力を働かせたものをつくらなければならない。われわれ設計やゼネコン、現場の職人は面白いもの、新しいもの、感動を呼ぶものをつくる誇り高い仕事をしているということを認識し、目標とビジョンを持って取り組んでいかなければならない」と訴えた。
淡路夢舞台(兵庫県淡路市) |
レクチャーでは、大成建設の北之園元氏と前田建設の曽根巨充氏も講演した。
北之園氏は「建設市場全体の動向」と題し、日本建設業連合会が2015年3月にまとめた「建設業の長期ビジョン」をもとに10年後の建設市場を分析。「これからの需要に応じるためには、90万人の新規雇用と10%の生産性向上が必須。5人離職したら4人雇う努力と、いま10人でやっている作業を9人でやる工夫が必要だ」と述べた。
曽根氏は「施工現場におけるデジタル技術の活用」をテーマに、前田建設でのICT(情報通信技術)やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの導入事例を紹介し「業務効率化という明確な目標を立て、慣習を打破するとともにメリットを確立し、教育機会も増やすことが重要だ」と話した。
このほか、プレセミナーでは、竹中工務店の加藤美稲氏が「デジタル技術を用いた建築設計の可能性」について、大林組の三浦憲氏が「既存建物の改修・保存・再生手法」について、それぞれ講義した。
14日には参加者による記念植樹や夢舞台内にある安藤氏設計の本福寺御水堂の見学なども催された。
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