2016/07/03

【レーモンド】木造協会の集大成 カトリック新発田教会・50周年で三浦敏伸社長が講演


 アントニン・レーモンドが設計したカトリック新発田教会(新潟県新発田市)=写真=がことし、献堂50周年を迎えるのを記念して、同教会の聖堂で18日、レーモンド設計事務所の三浦敏伸社長による講演会が開かれた。

 教会は、地元の新発田建設の施工で1966年に竣工、献堂された。れんがの擁壁の上に丸太を組み上げた小屋組が特徴で、レーモンドによる木造教会の到達点と言われている。
 講演で三浦社長は、レーモンドが師事したフランク・ロイド・ライトとともに19年に帝国ホテルの設計のために来日して以降、自身の設計思想を左右することになったいくつかの出来事や作品を紹介しつつ、教会建築の中では61年の聖ミカエル教会(札幌市)がいわば「習作」であり、「カトリック新発田教会はその集大成といえる」と解説。50年に及ぶ自身の事務所経験を振り返り、「これ(新発田教会)ほどレーモンドが力を入れた建築はなかった」と明かした。聖堂内部は第2バチカン公会議の決定に従って、祭壇を囲んで全員が参加する対面ミサ方式を採用しており、「教会建築の平面計画としては極めて異例であったことも信徒の方々には理解していただきたい」と訴えた。

三浦社長が講演した聖堂内部

 レーモンドが関東大震災での被災経験を踏まえて構造に強いこだわりを抱いていたことも数々の作品を通じて紹介し、わが国の大工技量の高さとともに、新発田教会が現在も構造、仕上げの面でまったく問題がないことを強調した。講演には信徒のほか、建築関係者や市民などが多数参加し、終了後には見学会も開かれた。
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