2016/07/04

【現場最前線】メラン材ロアリング工法でアーチ部回転・降下! 狩野川横断高架橋工事


 三井住友建設は、国内2例目となる「メラン材ロアリング工法」を採用したアーチ橋「狩野川横断高架橋」(静岡県伊豆市)のアーチ部回転・降下作業(ロアリング)を実施した。ロアリング工法のアーチ橋としても国内4番目の支間長で、6月21日から7月1日にかけて起点側と終点側に分けて実施した作業を地元住民など200人超が見守った。

 今回の工事は、伊豆縦貫自動車道のうち、大平インターチェンジ(IC)~天城湯ヶ島ICまでをつなぐ天城北道路の天城湯ヶ島IC付近において、本線と国道414号を結ぶ「狩野川横断高架橋上部工事」。RC上路式アーチ橋で、長さ171m、支間長さ110m、道路幅11.5m(標準部)となっている。工期は2015年7月から18年2月まで。6月30日段階の進捗率は約30%。
 メラン材ロアリング工法は、鋼製のアーチ型支保工である「メラン材」を工場で製作し、18分割されたメラン材を起点側と終点側の橋台上で縦に組み立てる。後部の橋脚をアンカー代わりにして、メラン材を支えているPC鋼材をジャッキでゆるめながら、ゆっくりとロアリングする。アーチ形式を採用することで狩野川内での橋脚構築作業をなくした。RCのアーチリブをロアリングする場合、支えるPC鋼材の張力がメラン材の10倍以上となり、橋脚後部にアンカー橋台を別に構築する必要があるが、メラン材の採用で橋脚をアンカー代わりに使用でき、狭あいな場所での作業が可能となった。
 6月下旬からの作業では、慎重に計測作業を繰り返しながら、一回の降下で16cmずつ倒していき、1日当たり60-70回繰り返して所定の位置まで倒した。
 ロアリング作業の精度確保には、メラン材が回転する支点となるロアリング支承の施工精度が重要になる。三井住友建設の高山久聖狩野川アーチ作業所長(現場代理人)は「支承取り付けには、かなり気を使った」と話す。
 今後は、メラン材を接続してアーチを完成させた後、移動作業車を使ってメラン材にコンクリートを巻き立ててアーチリブを完成させ、アーチリブ上に支保工を組み立てて鉛直材とPC鋼材で補強した補剛桁を構築する。ロアリングは、全工程の山場ではあるが、「今後のコンクリート巻き立ては難しい検討が必要だ。その後のアーチリブ上での補剛桁構築も支保の設置位置など、山場は多い。すぐに次のステップの準備をしなければならない。完成までまだ2年ある長丁場だ」(高山所長)と気を引き締めている。工事の安全性に対する社会的関心も集まっている中で、「計算と実際の状態が合わなければ事故につながりかねない。計画と確認を怠らず、事前に危険の芽を摘みながら進めたい」(同)とした。
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