2015/11/29

【建築×ICT】住空間をロボット化! 独居高齢者を見守り外部とつなぐ 東京電機大・渡邊研究室


 東京電機大学未来科学部建築学科空間・環境デザイン研究室の渡邊朗子研究室は、今後増加が予想される独居高齢者向けに住空間自体を丸ごとロボット化する研究を進めている。高齢者の自宅の各部屋に安価なセンサーを取り付け、高齢者が今どこにいるのかを感知、家族や医療関係者にネットを通じて見守り情報を送信する。両者はタブレットを通して会話が可能で、プライバシーを守りながら、きめ細かな見守りができる。渡邊准教授=写真右=は「建築とICT(情報通信技術)が融合して、高齢者の自宅自体がロボットになります」と話す。写真中央はシステムを担当した同研究室の加藤紘也さん、左はHIRO ICT研究所の渡辺透社長。

 居住空間に設置するセンサーは、マイコンと人感センサー、無線通信チップなどで構成し、1つ当たりの値段は千数百円程度。これを居間や浴室、キッチンなどに設置し、高齢者がどの部屋にいるかを検知する。センサーは安価なタブレット端末に情報を送り、タブレットからはテレビやスピーカーに映像・音声を出力する。


 システムは、タブレットに搭載するM2Mブラウザと呼ばれる専用のインターネット閲覧ソフトを介して制御する。タブレットは、HDMIでテレビ、スピーカーと接続し、ブルートゥースという無線で各部屋のセンサーと通信する。
 一方、センサー側には「Yokoduino」と呼ばれるマイコンと人感センサー、アナログ電気センサー、服薬支援やインスリン注射などをオン・オフで検知するデジタルセンサーなどを組み込む。
 ブラウザは、複数の人感センサーのデータから、そこに暮らす独居老人の行動を推定する。
  タブレットは、これらのセンサー類とテレビやスピーカーをコントロールしながら、インターネットを通じてクラウド上のサーバーにリアルタイムに情報を送信し、そのサーバーから家族や医療関係者が連絡を受け取る。
 例えば、高齢者が浴室から長時間移動しない場合などは、関係者に連絡が伝わり、家族がタブレットに「大丈夫ですか」などと入力すると、部屋に取り付けたスピーカーから変換された音声が流れ、注意を喚起する。


 また、日常でも高齢者がスピーカーに話し掛けると、その音声情報をテキストに変換して送信し、関係者側でテキストを表示する。音声での直接会話も可能だが、あえてテキストにすることで、家族たちの負担にならないようにしている。「外部とのコミュニケーションが認知症の予防にも役立つ」(渡邊准教授)という。
 今後、システムの学習機能を使って、高齢者の行動パターン分析を行ったり、音声だけで設定を完了できるようにする。また、極力費用がかからないように設計されており、10万円以下での実用化を目指す。
 システムは同研究室の加藤紘也さんが担当し、HIRO ICT研究所(本社・川崎市、渡辺透社長)と共同開発した。
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