2015/11/14

【実習体験記】富士Cで測量、建物診断を学ぶ! 学生48人の建築施工管理実習<下>


 建設業における“ものづくり”の能力の空洞化、雇用のミスマッチを防ぐため、施工現場の実務教育が重視されている。富士教育訓練センターが8-9月に実施した「建築施工管理実習(建築系大学)」には、過去最多となる5大学(東洋大、ものつくり大、名城大、立命館大、芝浦工大)から48人の学生が参加し、鉄筋や型枠など最前線の実務を学んだ。多種多様な技術者と技能者が共通目標を持ってものづくりに取り組む大切さを実感し、施工管理技術者として働く将来の姿をイメージする絶好の機会となった。学生を代表し、9月の第2回実習に参加した東洋大学理工学部建築学科3年の長谷川巧さん、松本陽大さん、目黒健太さん、佐藤哲郎さんの4人が共同執筆した体験記の後半を紹介する。

◆2日目午後、3日目午前 木工事
 6畳ほどのプレカットされた木造軸組工法の建て方を5-6人のグループに分かれて実施した。足場の組み立てから始まり、柱、梁、筋交い、窓台までの建て方の作業を、お互いにコミュニケーションを取りながら進めた。
 解体の時は、みんな作業に慣れてきたこともあり、早く終らせるために効率よく動いているように見えた。しかし、かえって危険な行動が目立ち、周りを気にせず作業を進めることで作業工程を間違え、指導員の先生に厳しく注意された。

木工事(木造軸組工法建て方)を学ぶ

 休憩時間に、指導員の先生から、「実際の現場では作業に遅れが出るし、人間関係で現場の雰囲気が悪くなるなど大変だ」と現場の厳しさを教わった。その中で、「建物が完成したときの喜びは忘れられない」という言葉が印象的だった。

◆4日目、5日目午前鉄筋・型枠工事

 2級鉄筋技能検定の実技試験で使われているものを使用し、5人グループで組み立てる実習を行った。実際の試験では、これを1人で行うようだ。大学の講義のビデオで結束線を結んでいるところを見たことはあったが、実際にやってみるとうまくできずに苦労した。

鉄筋工事では、5人1組で組み立てを実習した

 一番苦労したところは、柱筋を立てて、決まった位置に帯筋をあて結束線で結ぶところだ。鉄筋の太さや位置を間違えないように正しく組まれているかを管理するのは、大変難しいことだと感じた。

◆5日間の実習を終えて

 実習期間中は、起床が毎朝6時30分で、その後朝食を取り、7時45分からは朝礼で人員確認、ラジオ体操、あいさつ、タッチアンドコールなどを行った。夜は午後11時に就寝するなど規則正しい生活を送ることで体調が良くなり、早寝早起きの素晴らしさが改めて身に染みた5日間だった。他の大学の学生たちと交流することもとても刺激的で、多くの情報交換を行うことができたのも収穫だった。
 今回の施工管理実習を通じ、建物をつくるには多くの技術者や技能者がかかわり、同じ目標に向かって作業を進めていくことを実感した。これから施工管理技術者を目指す者として、大事にしていきたいことが2つある。
 1つ目は『安全な環境』。2つ目は、『コミュニケーション』だ。富士教育訓練センターでは、さまざまな職域の人たちが、必ず笑顔であいさつを交わしている。あいさつをすることで信頼関係が構築され、安全な作業環境を提供できるのだと思う。
 これからの大学生活でも多くの知識を蓄え、自分なりに考え、さまざまな場面に活用していく力をつけていきたい。周りから的確に情報を得た上で行動力に変え、周りの人にきちんと伝える力を身につけることが最終目標である。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿